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二話 ページ4

「はぁ、兄さんまだ帰ってこない」

そうやって文句を言う弟を横目にみる。もうみんな布団に入っているのに、何も無ければ良いけれど。

いや、大丈夫。一応、兄さんだし、きっとおじさんの所にでも泊まらされているんだろうな。

それにしても、なんだか嫌な日だ。何も無いと分かっていても胸がドクンドクンと高鳴る。

「Aにぃさん? どうしたの?」

「禰豆子……うんんなんでもない。おやすみ」

そうしてそれぞれ眠りに入った

――のに。

「はぁ……眠れない」

六太が布団を巻き込んで体に掛かっていないから自分のをやる。

「あぁ寒い」

暖に火をつければ芯から温まる。どうやら外は吹雪いているみたいだ。

コンコン

「えっ……まっていや、」

未だに戸は叩かれている。

前世でみたよ!? こんな感じの本! 吹雪の夜に戸を開けたおじいさんが雪女に凍らされる話! 俺はおじいさんじゃないけど

「誰もいませ――」

バゴォン

いかにもな音を立ててぶち壊しやがった!? くそっ砂煙で見えない。寝室の戸はとりあえず閉めよう。

中で母さんや禰豆子の声が聞こえる。どうしたら良い……どうすれば

「人の匂いが七つか、」

聞こえた声に、別の意味で胸がバクバクとした。

少し容姿に成長は感じられるが、間違いない。

「無残っ」

「鬼狩……?」

やばい! このままじゃ家族諸共殺られる!

「聞こえるか、禰豆子、母さん! 他のみんなを連れて裏口から逃げてくれ! 俺の事は……後で行くから」

暫くは奥ですすり泣く声が聞こえ、その後にドタバタと音がした。

「ふん、家族の絆など所詮、知れている」

「なぁ、無惨、もうこんな事、やめようよ。」

「人間如きが馴れ馴れしくするなっ」

大体の予測はついていたから、避けれたはずだった。

「禰豆子!」

目の前には肩を深く刺された、双子の妹がいた。

「この女……」

禰豆子がもう一度、傷がついたことで意識が戻った。

――あぁ、この状況、どうする事が正解だ。

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作者名:フクラム | 作成日時:2019年11月10日 12時

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