前話 ページ2
あの日もまた、父上を継ぐ為に屋敷で任された書類を書いていた。
これが終わったら無残のところに行って、世界の話をしてやろうと。
思っていたのにそれは唐突だった、医者の叫び声から始まり、使用人、それに続いて両親の耳をつんざく程の声が聞こえてきた。
――それも無残の部屋から――
最近の無惨は新しい薬の副作用で人当たりが強い所があったから恨みとか買っていてもおかしくない。
襖を開けて真っ先に目に飛び込んで来たのは愛しい弟が父さんを食べている光景だ。
「無惨! 何をしているのだ! 」
ゆっくりとこちらを見た無惨の目は虚ろでいて殺気に充ちた目をしている。
もう「死」の覚悟はした。今ここで無残を止めて生き残ったとて孤独が襲うだけ。
ならば弟と共にこの命を散らした方が良い。
「っ……今まで病弱だ、なんて言われて寂しかったのか? 私は何をすれば良かっただろうか」
そう問いてみても帰ってくるのは唸り声のみ。
段々と爪が肩にくい込んでくる。
「はっ……そうか、」
仕方が無い……
「お兄ちゃんといこうっな?」
護身用として身につけていた、使うことがないだろうと思っていた刀を勢いよく抜き取り無残の胸にめがけて刺した。
そのうち息も耐えるだろう。
そしてまた、俺も抵抗していた手を緩めてその重い一撃を受け止めた。
「カハッ……すまなかったなぁ無惨」
最期に無惨の頭を触り息絶えた。
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作者名:フクラム | 作成日時:2019年11月10日 12時