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side 羽生結弦
「私は結弦にとって都合の良い女なの？私はいくら泣かせてもいいんだ？結弦が幸せならそれでいいんだ？」
葉月のいつもの柔らかい口調も柔らかい笑みもどこにもない。あるのは刺々しい言葉と目付き。
「葉月は俺なんかより葉月のこと愛してくれる男といたほうが幸せにきまってる。どうでもいいと思ってたらわざわざこんなとこに呼び出して別れ話なんかしない」
葉月は俺なんかよりふさわしい相手をみつけて幸せになるべきだ。
俺なんかにこだわってるべきじゃない。
「勝手に人の幸せ決めないでよ。結弦に愛されないまま一緒にいた私は不幸で滑稽だったって言いたい？」
「滑稽だなんて思ってねーよ」
「言っとくけど、私、結弦が思ってるほどいい子じゃないから」
葉月はいつの間にか怒鳴り疲れて肩で息をしていた。
「昌磨くんは私が好きって言えばいつでも付き合ってくれるから」
何が言いたいのかはその言葉で察しがついた。
「昌磨くんと私が付き合ったら悲しむのみーちゃんだから」
葉月は脅しのつもりだろうか。
「仕返ししてやるんだから」
葉月は強い口調の割りには表情はどんどん苦しそうに変わっていた。
葉月は優しい。
柔らかい。
ずっと、一番近くにいた俺がそんなことは一番よく知っている。
葉月は力なくパイプ椅子に座りこんだ。
顔を手で覆い今度はしゃくりあげながら泣き出した。
「葉月にはそんなことできないよな？」
葉月からは返事はなくただただ、涙声が漏れていた。
振っているのは俺なのに何故だか目頭が熱くなる。
「ごめんな。葉月にそんなこと言わせて」
自己嫌悪で胸が溢れかえる。
いつだって、俺を一番に考えてくれた葉月に俺はなんにもしてやれなかった。
もらうばっかりで、なんにもしてやれなかった。
そして、こうして葉月を裏切ってしまった。
「ごめんな。幸せにしてやれなくて」
葉月は泣き腫らした顔を上げた。
「やっぱダメだ」
泣きながら少し笑っていた。
「こういうの私には向いてないね」
「うん。そうだな」
葉月は両手で涙をぬぐった。
「結弦が思ってる通りこれ以上私は粘れない」
葉月なりの小さな反乱は失敗に幕を閉じたらしい。
「でも、最後にひとつだけ」
俺は無意識に小さく頷いていた。
「幸せにしてやれなくてごめんだなんて言わないで」
もう、くぐもった声ではなく葉月の透き通った声だった。
「結弦といれて私は充分、幸せだったよ」
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らっき(プロフ) - 完結されてからかなり経ってしまっていますが、読ませていただいてすごく好きな作品になりました。書いて下さってありがとうございます！それだけ伝えたくてコメントしました(*^^*)見てくださるといいなぁ、なんて思ってます！ (2021年12月7日 22時) (
レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - 大変お久しぶりです。最後まで読ませて頂きました。ぜひとも、時間があるときで構いません。名前を自分の名前に変換したものを読みたいので、よろしくお願いします。 (2018年9月2日 8時) (レス) id: 058ee396c0 (このIDを非表示/違反報告)
納子(プロフ) - yuccoちゃんさん» ほんとうに読んでいただきありがとうございました！ (2018年4月9日 9時) (レス) id: 21906f0f83 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - こんばんは！ゆづのドSなセリフにトキメキました！言われたい！サイコーの終わりでした！番外編で続きも読みたいです！ (2018年4月8日 1時) (レス) id: 72d5e5baf7 (このIDを非表示/違反報告)
納子(プロフ) - 鹿さん» いつも丁寧なコメントをありがとうございます。読んでいただけてほんとうに嬉しいです (2018年3月29日 20時) (レス) id: 21906f0f83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：納子 | 作成日時：2017年9月7日 21時
