look at me 番外編 (ページ1)

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chocolate ページ1

全日本選手権から宇野くんと付き合い初めて、一ヶ月とちょっと。

初めてのバレンタインがやってくる。

もちろん片想い中の時もバレンタインのチョコはプレゼントしていたけど今年は特別だ。

「ねー。何が良いと思う？」

気づいたら草太に連絡していた。

『んなことでいちいち連絡してくんなよ！』

ちょっとキレ気味な草太を「まぁまぁ」となだめた。
草太とはフィギュアスケートをやめても学校が一緒だから何かと交流はあった。

『なんでもいいんじゃねぇの？』

「え？ちょっと雑！真剣に考えようよ！」

『お前だけ真剣に考えてろ！人を巻き込むな！』

今にも電話を切られそうな勢いで、また私は「まぁまぁ」となだめる。

「草太が彼女できたら私が一緒に考えてあげるから！」

『誰がお前なんかに相談するか！』

「えー…」

男のことは男に聞くのが一番だと思って連絡したのにとんだ期待外れだった。
そう思った時だった。

『昌磨くんは四大陸近いし、甘いもんはいらないんじゃない？』

やっぱり、草太はなんだかんだで優しい。

「草太～。やっぱり頼りになるねぇ。で？甘くないものって煎餅とか？」

『自分で考えろバカ』

そう聞こえたと思ったら、プツリという音とツーツーという音が聞こえてきた。

切られた…。

私は自分のベットの上でがくりと項垂れた。

困ったな。
甘いもんじゃないとなると塩辛いもんだと思ったんだけど、流石に煎餅は可愛げないよな。

宇野くんとは確かに全日本から付き合ってるけど、付き合う前と関係はあまり変わってない。
相変わらずラインの返信は遅いし、シーズン中だからあんまり会えない。
だからといって不満はないのだけど、もう少し距離を詰めれたらいいのにと思う。

バレンタインがチャンスだと思ったんだけど、良い案がないなら意味がない。

いつのまにか深いため息が漏れていた。