数年越しの。【りぶ】

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気がつくと、陸さんの腕を掴んでいて。驚いたような顔で私を見る。言葉よりも先に体が動いた。

こんな怖さを、この人も、感じてくれたんだろうか。


だとしたら、これは、愛おしさ？



「いなく、ならないで、ください」



なんとか、それだけ伝えると、掴んだりぶさんの腕が動き、そっと手を握られる。

Aさん、と小さく名前を呼ばれ、



「抱きしめてもいい？」



ふわり、甘い匂いがして、気がつくと陸さんの肩に、私の頭が乗っていて。前にも、背中にも体温を感じる。ああ、なんて、落ちつくんだろう。


人に抱きしめてもらうのも久しぶりで、思わず目を閉じる。りぶさんが、小さく笑う気配がする。いつから？忙しかったり、落ちついたりするこの心は、この人に動かされてきたんだな。



▽△


しばらく経って、送っていきますね、と穏やかな声で言われる。ああなんか、まだ離れたくない、と思ったのが伝わったのか、まあ、次は帰さないと思うけど、と普通のトーンで言ってくる。

…心臓、もたないかもしれない、ほんと。
　

あの日＊1→←＊5

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