数年越しの。【りぶ】

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「Aさん、汗かいて気持ち悪かったら、シャワー使います？」


着替えは、えーと、Tシャツでよかったら貸すので、とこっちを見て聞いてくる。しゃ、シャワー？着替え？


「い、いや、いいです、大丈夫です」

「ほんと？」


「…ええと、じゃあ、Tシャツだけ借りてもいいですか？」

「うん、全然。じゃあ、俺浴びてきますね」



な、なんだ、何が起きてるのか、思考が追いつかない。
用意してもらったTシャツを、とりあえず持ち上げ、再び置き、また持ち上げ、こんなにTシャツを着るのに時間をかけたことない。



わりとすぐ出てきた陸さん(半裸だったらどうしようかと思った)は、あーさっぱり、と心なしか声が明るい。

服は着てるけど見ることができず、固まっていると、りぶさんは私から一人分の間隔をあけて、ソファに座る。それでも近い、あかん、テレビつけときゃよかった…！



「美味しかったね、鳥鍋」

「へ？あ、ああそうですね」


身構えていたので拍子抜けし、ふつうに話すりぶさんを思わず見ると、目が合う。ひー！



「まあ、ごめんね、俺もちょっと、あんまり深く考えずに誘っちゃって」


聞いてもいい？さっきの、と首を傾げる。
なんか、こういう、話す空気を作ってくれるのが安心してしまう。いいか、もう。
　
　

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