数年越しの。【りぶ】

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「…Aさん、なんかいつもよりぼーっとしてない？」


もしかして具合わるい？と心配そうに聞いてくる。いやまあ、暑すぎてってのもありますね、そう言うと、ほんとねぇ、と団扇をあおぐ陸さん。なんか様になる。



「あと、ちょっと思い出しちゃって…」

「なにを？」


「私も今朝、へんな夢見たんです」

「おお、どんな夢？」



聞いてくるりぶさんを見て、迷う。

あの言葉、どういう意味ですか、と聞きたい、けど聞いてどうする、身に覚えがあるはずないし、夢だし、でも聞きたい、あああ。



「馬にエサをあげようとしたら手ごと持っていかれてびっくり仰天した夢です」


「…馬？このまえ馬刺し食べたから？笑」



繋がったわ、ナイス私。そうかもしれません、と笑う。もういいや、食べよう。美味しい鳥鍋を。

塩の効いた旨味が身体に染み渡る。夏バテ気味だったのかも、求めてたこの塩味。



「私たち、いつも食べてばっかですね」

「そうだね、食が満たされてる」



「陸さんは料理はしますか？」

なんか昔、ちょいちょい焼いた餃子の写真を載せてたような、と思い出しながら聞く。


「料理ねー、気が向いたら作る感じかな。Aさんは？このまえサラダ作ってたけど」



サラダは料理じゃないような…と思いながら、私もたまにですね、と返す。ああなんか、やってしまいそうな予感がする。他人事みたいだな、暑さのせいにしようかな。
　

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