4話 あいつらは近づきますよ ページ5
夜蛾「華月A…
良い名前だ」
「ありがとうございます」
硝子「あっそういえばわたしの名前まだだった
家入硝子
硝子って呼んでいいよ」
「えっと……
家入さんと呼んでもいいですか」
硝子「うん
それでもいいよ」(無理か…でもいつか呼んでくれたら良いな)
夜蛾「……すまないが、辛いかも知れないが少し教えてくれるか
なぜ君があそこにいたのか」
「っ…」
夜蛾「無理して言うことはない
もし言えたらでいい
話したくないなら言わなくていい
私たちが君を守る」
「……少しだけ待っててもらえるなら
いつかお話をいたします
でも…」
硝子「でも?」
「……話せることは
わたしは
親に売られ、あそこにいた
ことは言えます」
夜蛾「っ?!」
硝子「売られた……
ごめんね
辛いことを」
「いいえ
わたしはもう何も辛いことなど感じません
わたしはもう既に
自分の心を失ってしまいましたから」
硝子「……」(だからか……目に光がないのは)
夜蛾「……君の部屋を用意した
少し時間を置いてから、移動しようと思う」
「お部屋ですか?こんなわたしに?」
硝子「こんなじゃないよ
あっその前に髪洗おうか
わたし洗ってあげる
あとで一緒にお風呂入ろう」
「あっはい
すみません、ありがとうございます…」
夜蛾「んではまた後で来る
すまないが硝子一緒に来てくれるか
運んでほしいのがある」
硝子「えー
分かりました
んじゃ少し行ってくるよ」
「はい
行ってらっしゃいです」
スタスタ
ギィーバタンッ
夜蛾と硝子が少し歩いて、硝子の部屋が見えなくなったところで夜蛾が足を止めた
硝子「んで本当はなんです?」
夜蛾「……あいつらが帰ってきても、あの子のことを話すな」
硝子「なんで」
夜蛾「……硝子の時は何もないが、わたしと話すときはどこか辛そうに見えた」
硝子「……それって」
夜蛾「恐らく女性である硝子には、心を許している
だが男であるわたしには恐れている
あそこに閉じ込められているとき、男に何かされたのだろう」
硝子「そういうことか
……分かりました
でもこれは言える」
夜蛾「何をだ」
硝子「わたしがあいつらに隠し事をしても
あいつらはあの子に近づきますよ」
夜蛾「……ふっ確かにそうだな」
硝子「分かってるくせに」
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作者名:カオリ | 作成日時:2023年10月10日 0時