番外編 最初から最期まで ５ ページ37
坂田side
陽で一日暖められていた手すりに腕を乗せる。
暖かい病院の屋上は、どこか寂しさを感じさせる。
久しぶりに見た、恋人の顔。
会いたかった。
そう言って、泣いてしまいたかった。
うらたさんが目覚めるまで、傍にいたかった。
でも、そんな女々しいことは出来ない。
うらたさんの病気は悪化した。
きっと、別れの日も近い事だろう。
だから俺は、うらたさんに悟られる前に
自ら命を絶つことを決めた。
坂田｢もう、頑張ったよな｣
手すりを乗り越えて、下を覗く。
飛び降りるには最適か、いや、十分なくらいか。
足がガクガクと震える。
坂田｢なに、ビビってんだよ……｣
ポツリと零れた独り言も、震えているのがわかった。
手を握りしめて、真っ直ぐ、前を向く。
耳を澄ませば、
近所の公園で遊んでいたであろう子供の声。
学校のチャイム。
診察に来た妊婦と、その家族の声。
世界は動いてる。
その中でも、俺は、動かずにただ、耳を澄ませていた。
ふと気がついた。
階段を急いで登ってくる音がすることに。
見られる前に、降りないと。
うらた｢──っ、坂田！！｣
その声は
望んでいた声
聞きたかった声
懐かしい声
大好きな声
でも俺の足は宙を舞っていて。
手を伸ばしても、届かない距離。
落ちていくのを感じていた。
なのに。
抱きしめられた。
力強く。
優しくて
大好きな
バニラの香り。
さらさらで
少しだけ傷んでしまった
茶色の髪の毛。
華奢で
俺よりも小さい
君は
僕の目を見て
微笑んだ。
坂田｢最期まで──｣
零れた涙より少し遅く、
俺たちは地面に沈んでいった。
.
.
.
.
最期まで
うらたさんを
好きでいられて
俺は幸せでした
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病兎 - 初コメ失礼します。うらさかのお話でつい涙してしまいました…！文才能力かなり高めで羨ましいです…！ (2020年3月29日 16時) (
レス) id: 81c02beb40 (このIDを非表示/違反報告)
病兎 - 初コメ失礼します。うらさかのお話でつい涙してしまいました…！文才能力かなり高めで羨ましいです…！ (2020年3月29日 16時) (レス) id: 81c02beb40 (このIDを非表示/違反報告)
ウミノ - お久しぶりです！志麻くんのファンサ…もらいたい…!!!!春ツ行けなーい…愛に行きたいよ〜… (2020年1月16日 3時) (レス) id: c7a9763e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆき*°。 - やっぱり東京とか交通網が多いところの方がみんな行きやすいからってことなんでしょうかね…？(そんなことないけど) 自分の友はホテル予約とって泊まったりしてますし…← (2020年1月15日 11時) (レス) id: fedae61aad (このIDを非表示/違反報告)
ゆき*°。 - お久しぶりです！ファンサおめでとうございます！うらやましい…。実は私のところ春ツ来るんですが行けないんですよね()こっちは今友達がなんとかひきフェスドームチケットとろうとしてます。((交通費)) そうですよね、北海道ですもんね… (2020年1月15日 11時) (レス) id: fedae61aad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彗涙 | 作成日時：2019年4月27日 13時
