【刀剣乱舞】ふるべ ゆらゆらと

弎拾肆 ページ37

「審神者…！」

「……」


ああでもよかった。
小夜くんを鍛刀したのが私なだけに手を出せないみたいだ。

ひ、ふ、み、よ、…と心の中でおまじないをつぶやく。心を落ち着かせ、胸の前でバッと指を組む。
術だ。これはあのお嬢様審神者さんから教えてもらった…無駄に遊びに行ってたんじゃない。

やはりあの人は実家がお金持ちらしく(まあそれは口調でも分かる)、本を一気に10冊もくれた。
本人曰く父親からの贈り物で、一度読んだからもういらないのだとか。

その一冊に、これが書いてあった。


「〈植物の精霊よ力を貸せ！縛！〉」

「何、これ…身体が動かない…ッ」


見えない縄で縛ってるんだ。そりゃ動けない。まあこの絡まってる指を解けば術も解けちゃうんだけど…。
詠唱が短い簡単な初級のだから御神刀だとか、そういう人には多分効かないんだろうな。

…ちなみに覚えてるのはこれだけだ。


「長谷部さん主命です！蛍丸くんを縄で縛ってください！」

「主命ですね！分かりました！」


わからない…何故長谷部さんがあんなに嬉しそうに主命をこなすのかがまったくわからない。

約3秒で帰ってきた長谷部さんは一瞬で蛍丸くんをどこから持ってきたのか不思議な縄で縛る。


「でもよ、大将。蛍丸はどうするんだ？このまま放置か？
多分誰かが縄を解いたらまた大将を襲いに来るだろうよ」

「…それもそうだね」

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