【刀剣乱舞】ふるべ ゆらゆらと

壹 ページ2

薬研藤四郎を拾ったのは一昨日の夜だった。
拾った、と言うのは少し気分が悪いけど家に連れ込んだ、と言うのはもっと嫌だからそう言いたい。

ただ単に夜外に出ていたのは友達の家に用があったからだ。
忘れ物をしてしまってそれを取りに行っていた。
家の前まで帰ってくると、人が座り込んでたんだからそりゃあもう驚いた。

薬研にコンビニ弁当を差し出す。


「薬研、ご飯食べれる？」

「……」


薬研は言葉で答える事はなくこくんとうなづいた。


「じゃあ弁当とパン、どっちがいい？」

「……」


薬研は無言で弁当を指差す。


「弁当ね。もう食べていいよ、店で温めてもらってるから」

「……」


薬研はおそるおそる私の手から弁当を受け取りプラスチックのフタを開けた。
割り箸も渡してパンを勉強机に置いた。

ああ、薬研がハンバーグを食べているのを見てお腹が空いてきた……。
でも残念な事に晩ご飯はもう食べた。


「お風呂入ってくるから。
先に寝てていいからね、今日も布団で寝る？」

「……」

「そっか、それじゃあ悪いけど自分で適当に布団引いてね」


うちの薬研は声が出ない。


「おやすみ」

「……」


それは彼がブラック本丸出身だからだ。

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