七十八話 ページ34
「はは！どうだ、ラギー。苦しいかよ。
口の中が乾いちまって、お得意のおべっかも使えなくなったか？」
最低。自分を慕って信じていた人にも牙剥くとか……
「うぐっ……ううっ……」
「まずい、あのままじゃラギー先輩が！」
『どどどどうすっゲッホッぐえっ』
「あーもう！お前危なっかしすぎて見てらんないわ！しばらく後ろ下がっとけ！」
襟を掴まれて後ろにポイっとされた。
▷もう、痛いようっ！エースくんの意地悪っ！
▷オラこちとら高明なお嬢様ぞ？？貴様なんぞが触っていい身分じゃないのだ
▷いやうるせぇよ
▷無言
凄い久しぶりに見た。選択肢。
周りの人たちが固まっている。……そうか、この選択肢って、選ぶ時は時止まんのかよ。
うーん…3番目を選びたいけど、エースは少なくともちょっとは心配してくれてるから言ってるんだよね…なら4番かな…
固まっていた人たちが動き出した。
いつのまにか砂嵐は強くなっている。さっきまで私がいた場所じゃ…
「くっ…それほどの力があって、何故こんなことをする！」
「何故…？理由なんて聞いてどうする。俺を叱って、慰めてくれるって？
実力があったって、努力したって、どうしようもねぇことがこの世の中にはいくらでもあるんだよ。
現にラギーはこの俺に手も足も出ねぇ。可哀想に……」
『本当に可哀想にって思ってん「もうやめねぇか！！『
もう我慢ならねぇ！と思って一発言ってやろうと思ったら、ジャックが突如として白髪の狼になった。
「あ、あれは……！？」
全員目をまんまるにしている。
「ガルルル！！ガウッ！！」
牙を剥きながらレオナ先輩に飛びかかる。
完全に面食らったレオナ先輩は、ラギー先輩の手を離す。
その一瞬の隙を見逃さずリドル先輩がユニーク魔法をかけた。
「ぐあぁっ！！」
すると、段々砂嵐が収まってきた。
「さすが、リドルくん！レオナくんの魔法が止まった！」
「ラギーからも手が離れたぞ！早くこっちへ！」
デュースがラギー先輩を支えながら連れてくる。
「セベク、俺たちは他の怪我人を外へ運び出すぞ。」
「偉そうに僕に指図するな、シルバー！」
今の砂嵐でかなりの負傷者が出てしまった……
先生を呼ぶべきだろうが、今はそれどころではない気がする。
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作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
