同級生5 ページ7
▽
「そう言えば新隆くん、朝ちゃんと手振ってくれましたね!」
野球部の声が響く放課後、目の前にいる彼女はそう口にした
「朝…って、あれお前だったのかよ」
「え、知らずに振ってたんですか?」
「俺そんな目良くねぇから」
「それと、敬語」と付け足せば、彼女はハッとしたように口元を抑えた
少し恥ずかしそうに頭を搔く彼女からそっと目を逸らし、解答とは全く違う答えが書き記されたノートに指を向ける
「あれ、違う?」
「かすってもねぇよ」
「そ、そんな………」
落胆した様子の彼女は、赤ペンで小さくバツを書き、すぐ下にまた計算式を綴り始めた
…にしても、朝手を振ってきたのはこいつだったのか…全くの他人ってことじゃなくて良かったな…てか、こいつもよく俺だって気付けたな
「新隆くんの髪は、綺麗だからすぐ分かるよ」
「ん、え」
心を読まれたかのような返しに、俺の喉からは変な声が吐き出される
「私はほら、真っ黒だからさ…新隆くんみたいな明るい色、ちょっと羨ましいんだよね」
整えられた毛先を触りながら、そいつはニコニコとしていた
気恥ずかしくなった俺は、小さく「そうか」と返す
「…そこも違うぞ」
「ええ?!」
お前には黒髪の方が似合うなんて気の利いた言葉は、そっと呑み込んだ
47人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かっち(プロフ) - めっっっっっっっちゃくちゃ面白いです…。なんでしょう、この嫌悪感がなさすぎる夢主ちゃん。最高ですね。霊幻師匠もかっこいいし、最高すぎるし、めちゃくちゃ大好きです。更新待ってます! (2022年11月11日 23時) (レス) @page11 id: 1b6cbbdaba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:坂丸 | 作成日時:2019年2月14日 20時