同級生6 ページ8
▽
「んで…お前に教えて1週間。小テストでこの点数ってどういうことだ」
「違うんです新隆くん…違うんです」
「数学の小テスト29点ってどういうことだよ」
「違うんです!!話を聞いて下さい!!」
「馬鹿かお前は!この1週間はなんだったんだよ!!」
目の前で頭を抱えながら項垂れているこいつの頭を、俺は数学の教科書を丸めて叩く
「ゔえぇ…」と一体何処から声を出しているのかと疑問を持つ程の低い声を発し、彼女は一層深く頭を抱えた
ったく…頭抱えてぇのはこっちだっつの…
立ち上がったまま、俺はため息をついた
「ご、ごめんなさい…あの、私、ええっと…」
「んだよ」
「…本当に、物覚えが悪いんです」
物覚えが良かったらこんな放課後に一々勉強なんてしないだろ…そんな分かり切ったことを今更なんだってんだ
「昔っからで…一応、前から人並みに勉強はしてるんだけど…でも、何でか、ちゃんと覚えられなくて…その」
スッと顔を上げたAはいつも以上に辛気臭い顔をしていて、いつもは自然と交わる視線も今回ばかりは合うこともなくらいつも人の目を見ながら会話をする彼女の姿勢を思い出し口をつぐんだ
「何で…かなあ、とか…へへっ」
何もない床を見つめそう零す彼女を目に、俺は顎に指をそえる
人並みに勉強はするが覚えられない…だとすると、考え付くのは1つしかない
俺は指を離し、そっと席に座った
「そりゃ、お前が馬鹿だからだろ」
「……あ、まあ、そうだよねえ…」
やっとかち合った視線は、いつもよりぎこちない
いつもなら俺から外すはずのものだが、俺はそれをしなかった
「馬鹿には馬鹿の勉強法ってもんがある」
俺は背もたれに体を預け、教科書で目の前のこいつを指す
「馬鹿が人並みの勉強量で足りる訳がねぇんだ。馬鹿なら馬鹿らしく、他人よりも工夫して、多くやれ」
「今からでも、間に合うかな…」
「俺が間に合わせてやるよ、俺が何とかしてやる」
無意識に吐き出してしまった言葉
不意に、こいつが俺に頼んできた日と光景がリンクする
「あ、りが、とう…」
辛気臭い顔はどこへやら…いつも通りの顔に戻ったAは、俺を見据える
……あーくそ、やっぱこうなる
俺は視線をずらし、手に持っていた教科書でまた頭を小突いた
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かっち(プロフ) - めっっっっっっっちゃくちゃ面白いです…。なんでしょう、この嫌悪感がなさすぎる夢主ちゃん。最高ですね。霊幻師匠もかっこいいし、最高すぎるし、めちゃくちゃ大好きです。更新待ってます! (2022年11月11日 23時) (レス) @page11 id: 1b6cbbdaba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:坂丸 | 作成日時:2019年2月14日 20時