こっち向いて、月島くん。【短編集】

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ついにこの日がやってきた。




プレゼントは部活後の放課後に渡すことにした。








料理上手の母に教えて貰いながら、

不器用ながらもアイシングクッキーを作った。




と言っても、色を塗っただけみたいな感じで、



そんなに細かい装飾なんてものはない。






クッキーが折れないように、と


細心の注意を払いながら1日を過ごした。





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放課後の部室では、部員が集まり、

月島くんが来るのを待ち伏せていた。






「…あ、来た…！」





足音が近づいてくる。



全員ひとつずつ、クラッカーを手に持ち、


そわそわしながら部室で待つ。






そして ＿＿＿＿




パンッ！







「…！」







お誕生日おめでとう！と

全員の声が月島くんに向けられる。







「…ありがとうございます」






相変わらずなテンションでお礼を言い、


部活が始まった。






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「よし！じゃあ今日はこれで終わり！」





部活中、マネージャーの仕事をしながらも



なんと言って渡すべきかを延々と考えてしまった。



ぼーっとしていたせいか、


潔子先輩からも、大丈夫？と心配された…。







いつも通りに片付けと着替えを済ませ、


鍵をかける。







「その右手に持ってるの、僕にも見せてよ」







鍵をかけた私の背後から、聞き慣れた声がした。






「私が、なんて誰も言ってなかったんだよね？


だったらそれ、僕に見せても問題ないよね」






ふ、とクッキーを入れた袋に触れられる。









「えっ…」









渡したいのはこの人なのに…





手をはじいてしまった。


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