ぶりっ子 97 ページ10
*
累がそう言うと、累の姉はピタリと泣くのをやめてこちらを見た。先程まで力なく座り込んでいただけだった彼女は既に臨戦態勢に入っている。
オイオイ、嘘だと言ってよバーニィ!!!
などと思っても、向こうはこちらのことなんて知らずに向かってくる。ほんとに待ってくれ死にたくない。(本音)
ギュルギュルとうねる彼女の糸束を、斬って斬って斬りまくる。さっき山田さんを庇った時よりも糸束が速く、強く、太い。何だこの三コンボ!誰も求めてねーよ!
先程は手加減してたんだろうか、と思うと同時に今の累の姉が死にものぐるいで行動しているんだろうな、とも思った。
なにせ弟の累さんはこちらを見物してますし???余裕のよっちゃんてか??私が首ちょんぱしてやろうか!!(無理)
「遅いな、早くしてよ。それとも何?こんなやつ一人も倒せないの?」
『(短気かこいつ)』
「累ッ…!ごめんなさい、今すぐ片付けるから、こいつすばしっこくて…ッ」
「言い訳はいいから。一人倒すのにこんな時間かかってたらこの山をチョロチョロする奴らを皆殺しにできるのはいつだろうね。お前に期待するだけ、無駄だったかな」
蜘蛛の糸で再び複雑な形を作った彼が、その糸越しに累の姉を見る。
いやほんと、何こいつ?お前が私を殺せば許すとか言ってから4〜5分くらいしか経ってないけど?短気か!(2回目)
「やめて、お願い!累ッ」
「僕達は家族なんだから、支え合わなきゃいけない。でも姉さんは何も役割を果たせていない。……罰が下るのは、当然のことだよね」
「ある親は川で溺れた子供を自身の命と引き換えに救ったと言う。親、姉、兄は弟を守らなくてはいけない。その身を犠牲にしても、だ。」
累の姉の悲痛な叫び声が聞こえる。
嫌悪と恐怖が胸の中で渦巻く。……鬼だって再生はしても、痛みが無いわけじゃないのに。
“家族”?“罰が下るのは当然”?
この
家族が支え合うものなのはわかる。でも役割だなんてないし、身を犠牲にして?親が子を庇ったことだってそれは愛ゆえの事じゃないだろうか。
『馬鹿みたい』
「……は?」
『家族ってそんなものじゃないよ。
お前はただ自分のわがままを他人に押し付けてるだけだ』
累の鋭い視線が私を射抜く。
戦慄が身体を突きぬけるが、負けじと彼を睨み返した。
家族のあり方なんてこの世界の私には分からないけど、累が間違ってるのは確かだ。後悔はしない。
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紅奈虹夢@虹茶(プロフ) - 無理しないで頑張っていただければ幸いです (5月3日 22時) (レス) id: 763d4d21f9 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (4月29日 20時) (レス) @page27 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
くまもん - 最高です。ドタイプな作品です。更新お願いします! (2月29日 15時) (レス) @page27 id: 888b8ee33d (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 更新待ってますね!ゆっくりでいいので! (1月7日 18時) (レス) @page27 id: 4e402dc10b (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 続きが気になります!更新待ってます!! (7月21日 22時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜々 | 作成日時:2020年11月15日 22時