ぶりっ子 98 ページ11
*
ゴポ、と口から血が溢れるのがわかった。
無理もない。私の腹や背中、顔にまで無数の傷があるのだから。息は乱れ、呼吸をすることさえ苦しい。
私の血は彼らに効いているのだろうか?
ダメだ、出血が多すぎて視界が霞んでよく見えない。
でも着物の袖で鼻と口を隠してるような気はする。(願望)
「そろそろさっきの言葉、取り消す気になった?(なんだ、この匂い……)」
『……っ取り消すわけな、いっ……!!!』
再び体に糸がくい込む。適度に痛めつけて先程の言葉を取り消させようとしているのだろう。
死なないように加減はしているものの、これが続けばどうなるかは想像に難くない。
刀も折れた。
累の姉の糸束を斬ったあとに十二鬼月である彼の攻撃に、私の刀が耐えられなかったのだろう。
あー、やっばい。
クラクラしてきたしめっちゃ眠い……。
これヤバいほうの眠気では??目の前には敵だし。詰んでますねこれは。
ガサリ、と音がしてゆっくりとそちらを見ると見覚えのある顔が目に入った。顔面蒼白、そんな顔色だった。
「…………A、?」
『あ、たんじ、ろ』
瞼が重くなり、目の前も真っ暗になる。
身体中が痛いはずなのに、痛みも何も感じない。失血死ってやつだろうか?
そんなことを思いながら、私は意識を失った。
_____
__
巨体の鬼に吹き飛ばされてすぐ、Aの血の匂いがした。Aの血の匂いは独特だから、すぐに分かったんだ。
恐る恐るそちらを覗いてみれば、目に入ったのは見慣れた桜の羽織。所々が破けており、赤黒く染まっている。
名前を呼べば、虚ろな赤紫の瞳がこちらを向いた。
『あ、たんじ、ろ』
「………………ッ!!!」
彼女の体から力が抜けていくのがわかった。
辺りに充満するAの血の匂い。
「あれ、気絶した?……馬鹿だなあ。
僕達のこと家族じゃないとかふざけた事言うからこんなことになるんだよ。さて姉さん続きをしよう」
「…………で、お前はいつまでそこにいる気?見世物じゃないんだけど」
「…………Aを、こちらに返してくれないか」
冷静になれ、冷静になれ。
Aはまだ死んでない、助かる。
死人の匂いはしてない。
刀を持つ手に力を込める。
_____この鬼は絶対に、許さない。
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紅奈虹夢@虹茶(プロフ) - 無理しないで頑張っていただければ幸いです (5月3日 22時) (レス) id: 763d4d21f9 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (4月29日 20時) (レス) @page27 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
くまもん - 最高です。ドタイプな作品です。更新お願いします! (2月29日 15時) (レス) @page27 id: 888b8ee33d (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 更新待ってますね!ゆっくりでいいので! (1月7日 18時) (レス) @page27 id: 4e402dc10b (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 続きが気になります!更新待ってます!! (7月21日 22時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜々 | 作成日時:2020年11月15日 22時