ぶりっ子 99 ページ12
*
目が覚めたら見知らぬ天井が広がっていた、なんてありがちな事を体験するとは思わなかった。トリップしたことに気づいた時もそう思ったけれども。
上半身だけを起こし、周りを確認するも、何も無い。暗闇が延々と続いているだけだ。
あれ、私もう死んだ???あんなに頑張って常中会得したのに((
ここは生と死の境目みたいな所なのだろうか?
もしそうだとしても三途の川とかだったらどっちが現実でどっちが死の世界が分かりやすかったのに。
体がものすごく重い。鉛みたいだ。
いつもだったら無理にでも起きてるんだけど…。なにもする気が起きないのはどうしてだろう。
悲観的になっているのが自分でもわかる。
さっきの鬼と家族について話したからだろうか。
しのぶさんの事も、カナヲちゃんの事も今は考えたくないと思ってしまう。どうせ、ここで生きながらえたところでしのぶさんに迷惑がかかるだけかもしれない。
このまま楽になりたい、とさえ思った。_刹那、
『な、…なにこれ』
ぶわりと、桃色の光が私の体を包み込んだ。……とうとう発光体になっちゃった??ってふざけてる場合じゃねえや。まってほんとになんだこれ???(混乱)
混乱で動けなくなる私の脳内に、声が響き渡る。
“まだこっちへ来ては、ダメよ。_A”
聞き覚えのある声に、涙が零れた。
だって、どこからどう聞いてもカナエ姉さんの、声なんだ。こっちに来ちゃダメ?まだ死ぬなってこと?
“ごめんね、突然いなくなって。Aに寂しい思いをさせてしまってごめんね。でも、こちらへは来ちゃダメよ。Aにはやるべき事があるでしょう。”
_うん、でもね。もう疲れたのカナエ姉さん。
しのぶさんだって私の事なんて迷惑だからいなくなって欲しいって思ってるよ。
“そんなこと思うわけないわ。あなたたちはただ誤解しあってるだけなの。嫌われてなんかない。しのぶと話し合って、支え合うのよ。……
“もう、時間だわ。しのぶをよろしくね”
カナエ姉さんがそういうと同時に、意識が引っ張られる感じがした。…無理だよ、カナエ姉さん。
だって私、しのぶさんのこと“姉さん”とすら呼ばせて貰えないんだよ。
炭治郎たちも、きっと昔の話を聞いたら離れていっちゃう。辛いけど仕方ないよ。だって私最低なんだもん。
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「……なんで、これがここに」
自身と揃いの、赤い蝶の髪飾りの破片を握りしめる。
遠くで、紫の蝶の瞳が揺らいだ。
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くまもん - 最高です。ドタイプな作品です。更新お願いします! (2月29日 15時) (レス) @page27 id: 888b8ee33d (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 更新待ってますね!ゆっくりでいいので! (1月7日 18時) (レス) @page27 id: 4e402dc10b (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 続きが気になります!更新待ってます!! (7月21日 22時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
るる - 天才過ぎませんか????更新待ってます!!!!! (7月15日 23時) (レス) @page27 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
阿部葵(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新待ってます! (7月12日 10時) (レス) @page27 id: c05e48fdcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜々 | 作成日時:2020年11月15日 22時