ぶりっ子、前世を思い出す ２ 【鬼滅の刃】

ぶりっ子 番外編 ２ ページ14

＊


『…ちょっとあんた。挨拶くらいしたらどうなの？』

｢……｣

『自分だけ召使いにされてないからって、調子に乗らないでくれる？』

｢……｣


すれ違っても話しかけても、何も言わないこの女に、ある日とうとう怒りが爆発した。
何を言われてもニコニコ微笑んでまるでこっちを馬鹿にしてるみたい。

私がどんなに言葉を浴びせても、どんなに嫌がらせをしてもひとつも表情を変えたりしない。
それがまた私の怒りを加速させて、悪口を言うことを止められない。

どこまでも真っ直ぐなその目は私の中まで全て見て嘲り笑っているようだった。この女に何かすればする程、その瞳に見つめられる程自分が惨めで醜く感じる。


『あんたここまで言われても何も言わないの？何か言いなさいよ！』

｢……｣

『カナエ姉さんたちとは話すくせにどうして私には口を開くこともしないの？！あんたなんでこんな言われてんのに否定すらしないのよ！』

｢………どうでもいいの｣

『は？』

｢私あなたにどう思われてようと、どうでもいいから｣

『……』


するりと私の横を通り、和室に入っていくあの女。

開口一番。
初めて口を開いたかと思えば、その口から出てきたのは｢どうでもいい｣という一言。

……なんなの、アイツ！！！

初めてあの女と会話した結果、私の心は大荒れだった。

……この後、さっきの話を聞いていたきよすみなほの誰かがしのぶさんに告げ口したらしく、私はこっぴどく叱られてますます溝は深まった。

……それなのに、神様はまた追い討ちをかけるんだ。

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