ぶりっ子、前世を思い出す【鬼滅の刃】

ぶりっ子 １１ ページ13

＊



｢……あ、にん、ぎょ……さん……｣

『…………』


だんだんと灰になっていく鈴の鬼。
その手は、何かを探すかのように模索する。

近くに落ちた、あの赤く光り輝いていたお人形をその手に握らせる。


｢……お姉、ちゃ……あり……が｣


｢とう｣ そう言い終わる前に、鈴の鬼……いや、少女は灰になって消えてしまった。

人形も、一緒に。



｢……胡蝶の妹よ、何故泣いている？｣

『え……？』



煉獄さんが眉を下げてこちらを覗き込む。

いつもなら『えっ、可愛い！！あざとい！』とか叫んでいるところだが、今はそんな事どうでもいい。

頬を触れば、確かに濡れていた。
私、泣いてたんだ。



『……この女の子、自分で鬼になったことすら理解できてなかったんです。
そんな中ずっと孤独で、人を食わないといけないって……！どれほど、辛かっただろうと思って……』



そこまで言ったところでふわりと何かをかけられる。………………………………えっ。

これ、煉獄さんの羽織っ……！！！
……というか、煉獄さん私のこと嫌いじゃなかったっけ！！？



｢今は、思いっきり泣けばいい！
……俺しか、見ていないからな！｣

『……ありがとうございます、煉獄さん』



煉獄さんの羽織を被ったままぎゅっと拳を握りしめ、立ち上がった。

ぶりっ子 １２→←ぶりっ子 １０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す