文明開化の片鱗.2 ページ10
見惚れたように、道中の花嫁を
眺めていた薫は、弥彦に茶化され
困ったように視線を剣心に向けた。
困惑と羞恥、ほんの少しの期待。
だが…空気が読めない、
いや読まない振りなのか。
薫が期待したそれとは、お門違いな返答に
彼女は顔を曇らせ、足早に前へ進んでしまう。
ふと、剣心に視線を向けると
ポカンとした表情をしていた。
何故、薫がその様な態度をしたのか…
理解できない、といった所だろうか。
「ふふ」
女心とは複雑なものだ。
なんとも初々しい様子の二人に
思わず、笑みが漏れる。
──可愛い人
皆と、揃いで買った団子を片手に
遠ざかっていく薫の後を追い始める。
銀糸の髪がふわりと風に
攫われた。
背後では、高荷恵が
何やら剣心言っているようだ。
歓声が邪魔をして、全て聞き取れない。
…が、微かに「おろ?」っと
遠くで男の声が聞こえた。
______________________
「それで?貴方はどうなのよ」
高荷恵は、隣を歩く
我関せずといった表情の女に問いただす。
「いきなり何を言い出すかと思えば…。
それは、貴方も言えることでしょう?高荷さん」
女は、呆れたように目を伏せながらも
歩みは止めなかった。
高荷恵は美人である。
艶やかで美しい黒髪と切れ長の瞳。
そして、この時代では珍しい女医だ。
それこそ、引く手数多であろう彼女が
こうして、彼らと行動を共にしているのは
彼女なりに、理由があっての事だろう。
「その、高荷さんって止めてくれる?
よそよそしいったら。どうせ、私と貴方
同じ歳のぐらいでしょう」
「……二十代前半とだけ」
二人は安堵感な様なものを感じていた。
同じ年頃の女が、こうして他愛もない
話に花を咲かせる。
これが、平和か。
この穏やかな時間が
ずっと守られればいい。
そう願わずにはいられなかった。
「あら、まぁ。貴方って人は」
憤慨した様な物言いにも関わらず
その表情は柔らかい。
「ふふ、冗談よ。怒らないで?
べっぴんさんが台無しよ"恵"」
ころころと笑い
戯れる女達。
人々は、彼女らに
目もくれず往来を行き交う。
二人の楽しげな会話は
当人たち以外
誰も知らなかった。
続く (更新停止中)
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夜(プロフ) - 続き見たいです❗️お願いします (7月27日 14時) (
レス) id: 69bcc1908b (このIDを非表示/違反報告)
Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️とても、続きが気になるのでよろしくお願いします。m(_ _)m (2022年9月22日 20時) (レス) @page10 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2022年2月19日 9時) (レス) id: aabb3c7dc4 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - unknownさん» コメントありがとうございます！わわ、凄い嬉しいです。励みになります！ (2021年5月30日 22時) (レス) id: 9de04c820e (このIDを非表示/違反報告)
unknown - こんにちは！このお話最高です！続き楽しみにしています！ (2021年5月30日 19時) (レス) id: 3ebc76d337 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りあ | 作成日時：2021年5月21日 2時
