買われました【d!】 (ページ2)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:26,153 hit

新生ページ2

がさ、何かが擦れる音が耳に入りゆっくりと目を開けた。

目の前には青々とした澄んだ空が広がっている。

がさがさとこそばゆい感覚に左右を見渡すと、草葉の散らばった地面に転がっている状態だと気付く。

確か自分は、さっきまで_______

ズキンと頭蓋骨から脳みそにまで直通する、鋭い痛みが走った。

今は、考えるのはよそう。

ジンジンと残る痛みの余韻を消すように頭に手を当てつつ、ふと思う。

「これから、どうしよう…」

寄れてしまったスーツを直していると、突如、大きな咆哮が響いた。地面を揺らし、肌がビリビリと痺れるほどのソレに、体が固まりその場でゆっくりと、音の方向へと顔を向ける。

悠々と空を舞う、黒い身体。その巨大から切り裂かれて起こる風が、辺りの草木を揺らすその様は、まさに“天災”そのもの。

日光を反射し鈍く光る鱗の付いた体をうねらせ、堂々たる風格で空へと君臨する。

「…龍…？」

夢でも見ているのか。

まだ覚めない脳は、有り得ない現象に現実逃避という対処をとった。

その声が聞こえなくなって漸く腰をあげる。

これから何処へ行こうか。

何処へでも、行けるのか。

崖の上まで登ると、下の方に街が見える。

取り敢えず、あそこまで行こう。

ゆっくりと一歩一歩を踏みしめるようにして、街へと続く道を降りていった。