CODE.16_足りないものさがし ページ18
▽
「修」
「か、かかか烏丸先輩！」
「おう木虎。久しぶりだな」
『実は私もいます』
「明智先輩も！こんにちはっ」
「あ、お久しぶりです…」
ブラックトリガー争奪戦から何事もなく日は流れ、遊真と千佳の入隊日がやってきていた。
恒例の戦闘訓練を上から見ていた修と木虎は、後ろからかけられた烏丸の声とその後ろからひょっこりと顔を出したAにそれぞれ挨拶を交わす。
修たちとは最後に顔を合わせてからなんやかんや会えていなかったため、かなり久しぶりの対面であった。
どんな感じだ？と問うた烏丸に修は問題ないですと答える。どうやら遊真が目立ちに目立っている様子ではあるがそれもそうだろうなと烏丸とAはそれを見下ろした。
「今回も嵐山隊が入隊指導の担当か、大変だな」
「いえ！このくらい全然です！」
烏丸の労りの言葉に木虎は少々緊張した面持ちで会話を繋げていく。木虎が烏丸に憧れを抱いているのは分かりやすくもあり、彼女を知る人であれば大抵知っていることである。Aもまたそんな木虎を微笑ましく見ている1人であった。
「こいつ俺の弟子なんだ。木虎もいろいろ教えてやってくれ」
「……！？弟子……！？」
あー、とAは顔にこそ出さないが思う。意外にも自身に向けられる好意に全く気が付かないこの男前は木虎の乙女心(半分は修への対抗心)はつゆ知らず、こんなにも簡単に地雷を踏み抜くのである。
「さて……嵐山さんにも挨拶しとくか」
「あ、嵐山さんはむこうです」
そんな会話の傍で木虎が暫しの間宇宙を漂ったあとすぐに羨みの炎を燃やし始めたのに気づきAが憐れみの目を修に向けると、意外にも彼と目が合った。
『三雲くん？』
「あ、いえ…」
何かあるのかと思い声をかければそうではないらしく、不思議に思いながら彼女も烏丸に付いて嵐山の元へ向かうのだった。
「やっぱり…」
「何がよ？」
そうして彼らが去った後に呟いた修に木虎は怪訝そうな顔で問いかける。
「いや…明智先輩のこと、ずっと前に見たことある気がして…」
「…………三雲くんあなた」
「いや変な意味じゃ……！」
「まだ何も言ってないわ」
冗談よ、と修の慌てぶりに満足した木虎が鼻で笑う。
「明智先輩もA級で有名だし、この間までC級だった三雲くんだって入隊してから一度くらいは見たことあったんじゃないかしら」
木虎の言葉にそうだよな…と頷いたものの、彼はこの曖昧な記憶の正体を探っているのだった。
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26(ふむ)(プロフ) - 佐藤花子さん» こんにちは、初めまして。コメントありがとうございます。丁寧な感想とても嬉しく思います。これからもしばらくはちまちまとした更新になるかと思いますがどうぞ宜しくお願い致します。 (2021年8月18日 17時) (
レス) id: 5b80796d59 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤花子(プロフ) - この作品で初めて貴方を知りました。単刀直入に言いますがとても素晴らしい作品です。言葉選びと丁寧な文章が一つ一つの言葉の魅力を引き出していて素敵です。これからも更新期待しております。ご自身のペースで更新していただければ幸いです。長文失礼しました (2021年8月17日 20時) (レス) id: 2f5d72a0f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：26(ふむ) | 作成日時：2021年5月21日 19時
