CODE.13_隙を殺す魔物たち ページ15
▽
明智Aは結構有名な人物だったりする。
ボーダーではA級の腕利き狙撃手、学校では成績において常に上位に君臨している。
初めて会う人間は大抵彼女の落ち着いた雰囲気とその風貌から近付き難い印象を受けるが、話してみると意外と気さくな対応にそれはなりを潜める。
顔よし頭よし性格よし、さらにボーダーのエリートとくれば彼女を慕う人間は少なくはなかった。しかし直接的なアタックを掛けてくる人間は極端に少なかった。
「明智って好きな人いないの」
『藪から棒に、いないよ』
「なーんだ」
それは何故か、と彼女に質問を投げかけた男__佐鳥賢は真剣に考えたことがある。
佐鳥は自他共に認める女の子を愛する人間だ。それは勿論Aも例に漏れないのだが、それを抜きにしても彼女は魅力的な人間であると佐鳥は思っていた。
男でいえば烏丸のようなモテ要素を兼ね備えた彼女である。分かりやすい好意を向けられても不思議ではないのに、と考えた結果浮上した答えは一つ。
「A」
『あ、京介』
彼女の席のすぐ横にある廊下に面した窓から顔を覗かせた男__烏丸京介を見て佐鳥は来たなと視線をやった。
「これ小南先輩から。こないだのお礼だって」
『ありがとう、またそっち顔出すね』
「ああ、待ってる」
そんな短い会話ですら完成された2人の空間に彼は眩しくて目を瞑った。
名前呼びと親しげな会話。側から見ればつまりそれである。実際2人がそう言う関係でないのを知ってる佐鳥でさえ実は付き合ってるのでは？と思うくらいだ。
「しかも2人とも顔面がつよい」
『なにそれ悪口？』
「違うよ褒めてんの」
彼女の元にはやたらと訪問者がやってくる。
それも大抵ボーダーの人間で来るのは同学年に留まらず、先輩にもしょっちゅう顔を出す人たちがいるものだから最早名物にすらなっていた。
特に今来た烏丸や来るたび彼女の頭を撫で回していく出水と米屋のコンビなんかはよく注目を浴びている。
『佐鳥次移動だよ。半崎たち行っちゃった』
「うわ忘れてた！」
つまり、だ。本人はそうでもないのにそこに行き着くまでの壁が厚い。と、佐鳥の中で出た結論はそれであった。
.
「あれ、佐鳥と明智じゃね？」
「あー、あいつら結構一緒にいるよな」
「ジェラってんの？」
「ちげーわバカ」
ただ、例のコンビのそんな会話も、実は隊員以外からすれば自身もその壁の一部であることも、佐鳥は知るよしもないのである。
.
※タイトル変しました
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26(ふむ)(プロフ) - 佐藤花子さん» こんにちは、初めまして。コメントありがとうございます。丁寧な感想とても嬉しく思います。これからもしばらくはちまちまとした更新になるかと思いますがどうぞ宜しくお願い致します。 (2021年8月18日 17時) (
レス) id: 5b80796d59 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤花子(プロフ) - この作品で初めて貴方を知りました。単刀直入に言いますがとても素晴らしい作品です。言葉選びと丁寧な文章が一つ一つの言葉の魅力を引き出していて素敵です。これからも更新期待しております。ご自身のペースで更新していただければ幸いです。長文失礼しました (2021年8月17日 20時) (レス) id: 2f5d72a0f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：26(ふむ) | 作成日時：2021年5月21日 19時
