世界の片隅で僕らは出会う。 (ページ4)

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俺は彼女の左腕を引き寄せて、強く抱き締めた。
ひゃあっ、という可愛らしい声を上げて、固まったままの彼女の唇に強いキスをした。

あの客に負けないくらいにね。

その時は、酒場の喧嘩も何もかも。時さえも全てが止まったような気がした。

あぁ、このまま幸せな時間が続けばいいのにな。なんて思っていながらも、俺の気持ちなんて知らんぷりして時はまた始まりだして。

あぁ、動き出しちゃった。と思っていれば、頬を強く叩かれてしまった。

『川上さんの馬鹿っっっ！！！』

その時、人生は映画のように上手くは行かないんだな。と痛感。

俺の心は砕け散ってしまった。歯と一緒に。

『早く帰ってくださいっっ！』

周りも、なんだなんだ、と騒ぎ始めて、俺は足早に酒場を出た。

「...ははっ、」

あまりにもダサすぎる出来事に、どうしようもない感情が込み上げてくる。
これなら靴を買ってあげたほうがまだマシだったかもしれない。

...って、後悔しても仕方ないか。

...でもさ、Aちゃん。
教えてもいない俺の名前を知っているってことは、少しは俺に興味があるって事でいいの？

【Waitress.】

すげぇ強引だなぁ。
私Waitress,Waitress! めっちゃ好きなんですよ