Waitress. dros川上 ページ3
いつもは酒なんて飲まない。今日だって飲むつもりなんてない。
なのに、いつも酒場へと足を運んでいた。
その理由が分からない程、俺も馬鹿じゃない。
『今日も来てくれたんですか?お酒飲めないのに...』
「うん」
『そんなにこの店が好きなんですか?まぁ嬉しいですけど。』
俺は、この目の前のAちゃんに恋に落ちた。
真っ赤な靴と胸元をちらりと見せた色気ある服を身に纏う彼女に。
強すぎ無いメイクに、優しい性格の彼女に。
俺は人目で恋に落ちた。いわゆる一目惚れと言うやつだ。
...ただ、
彼女の気を引くために、何をしたらいいのかが分からなかった。
毎回酒場で繰り広げられる喧嘩をBGMに、ただぼーっとしているだけ。
まぁ、さりげなくチラチラとAちゃん見てるんだけど。
「ほんと、何すればいいんだろうな。」
そんな小さな呟きは、喧嘩という名のBGMでかき消された。
ふと、目の行ったAちゃんの古くなった靴。
...いや、さすがに新品のを買ってあげるのは出来ないか。
今の靴もそこそこ高そうだし、引かれちゃう。
酒場の席には、お酒を口に含みながら、強いキスをする客が。
それじゃあ酔いも2倍だよな〜、なんて思っていると、ふと浮かんだ。
...あぁ、お金を使って振り向かせるのが駄目なら、こうすればいいのか。
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作者名:真白。 | 作成日時:2021年4月14日 16時