わざとらしく首を傾げた usg斎藤 ページ1
『斎藤さ〜ん』
「な〜に」
ギターを弾く手を止めた斎藤さんが、こちらを向いた。
かまって欲しくて呼んだのだけど、いざ見つめられると面と向かっては恥ずかしくて言えずに、
『さ、斎藤さんの髪の毛ってふっわふわですよね!』
と誤魔化して、斎藤さんの、ふんわりさらさらの髪の毛を片手で掬う。
斎藤さんはギターを置くと、口角をすい、と上げて
「Aちゃんの髪もさらっさらだけどね。」
と私の髪に手を通した。
そしてまた、ギターを持ってじゃらら〜ん。と音を鳴らしてしまった。
顔に出していないだけであり、本当は集中させて欲しいのかもしれない。
また終わったらいっぱいかまってくれるかな。という期待を胸に、私は斎藤さんのいる部屋を出た。
自分の部屋に入っても、特に何もやることはなく、ベットにごろーん、と転がる。
スマホを開くと、友達からメールが幾つか入っていて、アプリを開く。
気づくと、斎藤さんのいる部屋から出て30分〜1時間も経っていて、そろそろ休憩に入るかな?と思ってまた斎藤さんのいる部屋に入る
...と、まだ斎藤さんはギターをいじっていて、部屋に入ってきた彼女にも気づかないようだ。
彼女よりもギターが大事なの?
...って、めんどくさい彼女みたいになってるな。
流石にそろそろ斎藤さんに触れたくてほっぺをつついてみたり、
『まだ終わんないんですか?』
って呟いてみたり。
...聞こえてないと思うけど。
「...何。Aちゃん。」
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作者名:真白。 | 作成日時:2021年4月14日 16時