3、屯所は怖いよ ページ6
水…?
飛んで来た方をみると、走り去っていく疑心暗鬼。
よく着てるもんぺが目に入った。
「嫌ってはねェって事で、いいかねィ」
そう言ってニヤッと笑う。
・
ファミレスで顔を見た時、すぐに分かった。
あぁ体調が悪いんだなって。
でも、わざわざ水まで渡したのは過去と重なったから。ただそれだけ。
「夕刊でーす。げッ」
「あ、人間不信娘じゃねェか。久しぶりだな」
「久しぶりなんて言って、私を襲う気ですか!?
その瞳孔が開いてるのが何よりの証拠!!」
「変わんねーな、相変わらず…ぐへッ!
渡し方どうにかなんねーの!?」
顔に新聞をぶつけてやった。
ロリコンだって前に茶髪くんが言ってたもんな。
危険がいっぱいだ…この街は。
「あ、そういえば夏バテ野朗は?」
「知ってんのか、熱中症だとよ。あいつ熱が酷くてな。そうだ。
お前、粥作れるか?今、女中が居なくてよ」
「作れますよ。でも…そんな事言って、部屋に連れ込む気じゃ…」
頭を叩かれた。真選組はやっぱり怖ぇ。
食堂で炊けていたお米をぬめり取りに水洗いしようと炊飯器を開けば…バックに男が沢山……
「いやぁああ!!集団でやられるぅう!!
助けてッ!!ロリコン土方でもいいからぁあ!」
「ロリコンって何ッ!?違うから!
…お前らは戻れ。こいつは人間不信だ。
今に見てろ、炊きたての米を投げ付けられるからな」
「腹減ったなぁーあれ、不信娘じゃないか!
今日お妙さんちで見掛けたけど…ぅわぁぁああ!!
熱い熱い!やめてぇえ!!」
そして、ゴリラストーカーの手が肩に触れた。
怖くなった私は正当防衛にお米を投げ付けた。
「はぁ…殺られるとこだった…」
「いやいや、殺しに掛かってんのそっち!!」
長く険しい道だった…
まさか、お粥作るのがこんなに危険だったなんて。
ロリ方さんに部屋を教えてもらい、その部屋に一声掛けてから入る。返事は無かった。
ね、寝てるよな。
怒る恐る部屋に入ると荒い呼吸が聞こえる。
近寄ると滝の様に汗を流していて、額に触れれば物凄く熱い。想像以上の熱…
「土方さん。タオルと桶に水と氷を沢山下さい」
「分かった」
もらった桶にタオルを浸し絞って額に乗せる。
すると気持ちがいいのか呼吸が和らいだ。
何度もタオルを冷やしては繰り返す。
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作者名:千歌 | 作成日時:2020年8月19日 0時