2、反応が面白い ページ5
いつもの様に門を潜り抜けて、ポストに突っ込んでそそくさと退散しようとすれば。
「こっちに頼まァ」
ほら出た。
いつも通り振り返れば。え…
半裸の男が…素振りをしていた。
「嫌ぁあ!!変態!露出狂!
お巡りさん、ここに変態がッ!!」
「俺がお巡りさんでィ、分かったら黙れ。
家でどんな格好しようが、全裸だろうが自由だろィ」
あ、そういやそうだ。ここには露出狂ゴリラが…
するとこっちに歩いて来ながら、男の半裸なんて見たことないだろ。と嘲笑われる。
「い、いや?プールの授業で舐め回す様に見てるし?
新ちゃんとか銀ちゃんとか筋肉マンで見慣れてるし?
はい、これッ」
顔面に向かって新聞をスパーキングしてやった。
あぁ嫌だ嫌だ。
また、夕刊届けに来ないといけないと思うと寒気がする…いや、くそ暑い。夏って嫌だなぁ。
・
「あれ、沖田隊長。それ…素振りですか?
…珍しいですね」
「ま、反応が面白ェからついでにな」
意味が分からなそうな顔をしたデイリー山崎。
いつの間にか早朝と夕方が一日の楽しみになっていた。
んじゃ、もう一回寝るか。
そう思い布団に入ったがこんな猛暑じゃ寝れやしねェ。天井の木目をぼーっと眺めていると、いつの間にか記憶は途切れていた。
「おい総悟!!起きろ!流石に寝過ぎだろ!」
そんな怒鳴り声で目を覚ませば、ダルさと目眩が襲ってきた。
「土方さん、どうも俺ァ夏バテでもしたらしい。
有給休暇一週間でいいんでくだせェ」
「前も同じ様な事言って、結局嘘だったじゃねぇか。
ほざいてる暇があったら働け」
狼少年は、いつの世も信じちゃもらえないらしい。
そして今日の俺は、土方に向かってバズーカを構える力すらないらしい。
仕方ねェ。
見廻りと称して、店にでも入るか。
近場のファミレスで最悪なのに会っちまった。
正直、いつもみたいに振る舞うのもだりィ。
「見てヨ、銀ちゃん。白昼堂々税金泥棒してるアル」
「あ、ホントだー庶民の税金なんだとおもってるのかねェ、ポリ公は」
「でも、銀ちゃんは雀の涙程度なんだよねー
あ、ごめん…悪気はないの」
絡まれるのが厄介で、店に踏み入れた足の方向を翻す。熱い日差しの中、歩くのも辛くなって来て公園の木陰にあるベンチに座る。
ちッ…気持ち悪くなってきやがったか。
すると、頭に重い何かがぶつかって。
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作者名:千歌 | 作成日時:2020年8月19日 0時