29、傘が繋いだもの ページ32
傘は無くなったけど。きっと、あの時から沢山の大切なものを、銀ちゃん達のおかげで知る事が出来た。温もりを知る事が出来た。
「ただいま。あ、銀ちゃん」
「そ、その…あの傘さ…」
「うん、知ってるよ。女の子に…あげたんだよね。
銀ちゃん優しいね」
少し湿った頭を眺める。
雨の中私を探してくれたんだ…新ちゃん達も…大好き。
「俺も優しいだろィ?」
「…感動シーンだから黙ってて」
空気読めねぇのか、テメェは!!
「お風呂沸けてますよ。あれ、沖田さん?」
「天使な新ちゃん、好き」
「え…感動シーンじゃなかったの!?
ま、いいや。俺らはドライヤーで乾かし合いっこしようぜ、総司くん」
「キモいからやめてくだせェ。あと総悟です」
神楽ちゃんは、相当嫌そうな顔をしていた。
ごめんね、今日だけは許して。
お風呂に入っていると、外からドライヤーを取り合う声とそれを仲裁する新ちゃんの声がして、笑う。
でも。最近、沖田に触れられても大丈夫なのは。疑わないのは、人間不信を治療出来ているからか?
それとも信頼…いや、それはない。
あれは信じちゃ駄目な人の、お手本の様な人で。
ドSは一番信じられない類いだ。
・
「沖田くん、アイツの首の傷…
うちのAちゃんの料理、食ってく?」
旦那の事だ。それなりに察してくれてんだろ。
にしても、すげェ圧。
だが、人を斬りゃ体力も奪われるわけで。腹も空く。
「じゃ、お言葉に甘えて」
「新ちゃん、目が、目がァア!!」
※玉ねぎとリズムを刻み中
あのメガネと仲良いらしい。
何となく見てると、肩を肘で突かれた。
「何、気になってんの総一郎くん。
も、もしかして、す、す好きとかな…ぐえッ!」
あ、いけね。
思い切り、蹴り飛ばしちまった。
壁に突き刺さってる。
「出来たよ…って、銀ちゃん!?」
座る位置は、俺と疑心暗鬼の間に旦那。
向かいにチャイナとメガネ。
「どうですか、沖田さん。
美味しいでしょ?Aちゃんの料理」
「まぁ」
「まぁって何!?新ちゃん嬉しいよ!」
「姉御のより美味いヨ!!」
「それ褒めてる?」
まぁ、確かに人並みには美味い。
数十分程度で食べ終え狂った様に食べ続ける、旦那達を置いて玄関へ向かう。
すると、疑心暗鬼が付いて来る。
「えっと今日はあり…「じゃあな」
そう、軽く笑う。
疑心暗鬼が先を言うより前に口を開いた。
こいつに言われるのは違和感が半端ねェから。
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作者名:千歌 | 作成日時:2020年8月19日 0時