密談 ページ13
no side
「はぁー…ありゃ先生の好きそうな生意気な小僧だな。かかっ」
医務室の椅子にふんぞり返って大笑いする斎藤。
悠里に言われたばかりだと言うのに既に声が大きい。
「子供だと侮っていると痛い目に会いそうだがね」
「どう言う意味だ？」
ぽそり。
森が目を眇めて小さく呟く。
それを聞き流すことなく、斎藤は反応した。
「さっきの君曰く生意気な発言は『自分に聞かれたくない話をするなら違うところでしろ』って意味だよ」
「ほぉ…それはそれで生意気だな！」
「まあね」
面白いものを見つけた子供のような笑みを浮かべる斎藤と、反対に苦笑を浮かべる森。
北原悠里。7歳の子供。両親を殺された可哀想な少年。
ここまでならポートマフィアが気にすることなどない。殺した組織に対して、勝手なことをして、と呆れるだけだ。
だが、この可哀想な少年にはその先の物語がある。持ち前の異能力で両親を殺した組織を『殲滅』してみせた。たった7歳の子供が。
___ポートマフィアが欲しがるのはもはや当然の事といえよう。
「あの子は今後、重要な鍵になる。異能力に頼らなくても敵を倒せるぐらいには育ててくれるね？」
「欲張りだな、先生」
「不測の事態に備えたいだけだよ」
いくら異能が強くても、身体的に傷つけられたら今の北原には対抗手段がない。
突然眠らさらて拉致される可能性だってあるのだ。そう、
「とりあえずは身体面の強化かな。あの子の精神面は恐ろしく強いし、頭の回転も中々いい。頭を使うことは多少後になっても大丈夫だろう」
「鍛えるのは構わんが、その前に飯を食べさせないと使い物にならないぞ？」
「分かっているよ」
北原は両親が殺されたあの日から碌なご飯も口にせず、寝ることもほとんどできなかった。
両親が殺された光景がトラウマとなり、食事も睡眠も拒否しているからだ。
物を食べれば何度も吐き戻す。眠ろうと意識を落とせば悪夢を見て飛び起きる。
そんな状態でいま、まともに会話できていることの方が奇跡なのだ。
「彼は少し自尊感情が低い。そこら辺も頼むよ」
「難しいことを言ってきやがるな」
「君だからさ」
斎藤はポートマフィア内でも人情派で知られる人物。子供を任せるのに適任だと判断したのだ。
「まぁ、やれるだけやってみっけどよぉ」
「素晴らしい結果を期待しているよ」
「圧力かけんなや！」
医務室に斎藤の叫びが響いた。
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でこぽん(プロフ) - ららさん、shikibuchan00さん、本当にありがとうございます！こんな更新遅い作品を応援してくださる読者の皆様は本当に神様です！頑張ります！！ (2020年8月19日 2時) (
レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
shikibuchan00(プロフ) - 何回も読み直すくらいには大好きです！！応援しています！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: dc2c4f0c7f (このIDを非表示/違反報告)
らら - このシリーズ本当に好きです！応援してます！ (2020年8月8日 14時) (レス) id: 160b3d1fa3 (このIDを非表示/違反報告)
でこぽん(プロフ) - ありがとうございます！最近更新できてなくて申し訳ないですが頑張ってまいります！ (2020年1月23日 23時) (レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - すんごい面白いです！ひとつめの作品から読ませていただいてます悠里さんかっこいいですね好きです最近寒いですよね！！(困惑) (2019年12月15日 23時) (レス) id: 42869b6ef5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でこぽん | 作成日時：2019年7月5日 8時
