拾われた女Ⅲ (ページ36)

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伊月「！」

茨「はぁ！？ミラと皇が裏切り者！？何言ってんだ！？」

楓「この公共財ゲーム。裏切り者は共謀しているとしか思えなかった。

裏切りの連鎖を恐れず、蛇喰の作戦を回避し、同時に納税に切り替える…共謀なしでは無理だ」

……やっぱり、そうだったか。

ギャンブルに一切参加していないし、ほとんど憶測に過ぎなかったが…どうやら間違っていなかったようだ。

けれど…伊月と骨喰さんが裏切り者だという事には気付けなかった。

茨「それはさっき話しただろうが！

事前の共謀は出来ねぇ。ギャンブル中は他の目がある！

どうやって相談するっつんだよ！」

　

楓「その通り。相談は無理だ。しかし命令は出来る。

＂誰にも見られる事はなく、絶対に露見しない場所＂………

別室でなら」

…なるほど、納税室で共謀を図ったというわけか

楓「投票が行われる別室。

ここにメモを残して、次の者に命令すればいい。

もちろんルール外の行為だが…お前達は止めないだろう？」

美亜「まぁ、そうですねぇ…ルールで禁じておりませんのでぇ」

ミラ「__________待て！」

骨喰さんが遮るように声を張り上げる。

ミラ「命令が可能だとして、何故私なんだ！！

私と皇は初対面！命令されても従うはずがないだろう！」

豆生田さんは小さく鼻で笑う。

楓「そうだな。従うはずはない。

…だが、メモにこう書かれていたらどうだ？

＂私の銀貨5枚をあなたに差し上げます。すべて私財BOXに
投じて下さい。＂とな」

茨「…何ッ！？

銀貨をどちらのBOXにも入れず、その場に置いてきたのか！？」

楓「その行為も禁止されていない。そして、その命令に従う事には得しかない。

命令に従えば、次も銀貨を貰えるかもしれないし、証拠のメモは自分で握り潰せばいい。逆らう理由が無い。

信頼が無くとも、損得勘定で人は操れる。

____________これも社会だ」

それを黙って聞いていた伊月は、豆生田さんの近くへ歩み寄る。