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…苗字を聞いた時点で、私は薄々察しついていた。
恐らく夢子も百喰一族の人なんだろう。
だが、凜から貰った資料に夢子のデータは載っていなかった。……つまり、夢子が百喰一族だという事は、凜達にも周知されていない事になる。
恐らく彼女は一族の中でもそれ程目立たない、末端に位置する家の生まれ。そう考えるとしっくり来る。
…そうか。夢子も凜の親戚にあたるのか。
正直、興味があるし夢子にも聞いてみたいが_________
『……………ハァ』
……あまり、触れない方が良さそうだ。これは勘だが。
涼太「それならたくさん票を集めないとね。1票や2票じゃ話にならないだろうし」
夢子「さて…それはどうでしょうね」
夢子は妖しげに微笑む。
涼太「え?」
夢子「この1票が、誰も無視できないほどの大きな力を持つ…そういう事もあるかもしれませんね」
『……?』
……どういう事だろう。この人の考えている事はよく読めないな…
涼太「…早乙女は?この選挙、どうするの?」
『あぁ、それは私も気になってたわ。芽亜里はギャンブルに強いそうじゃない』
さっき聞いたばかりだが、芽亜里は借金を背負った事があったが、ギャンブルによって億単位のお金を勝ち取ったらしい。
芽亜里「私?私は…」
だが、芽亜里は神妙な顔をして黙り込んだ。
『…?』
涼太「…早乙女?」
芽亜里「…さぁね。関係ないでしょ?今日はもう帰るわ」
『あっ…』
芽亜里は理由を言わず、教室から去ってしまった。
涼太「…僕、何か気に障ること言ったかな…」
夢子「はて…」
「蛇喰夢子さんですね?」
『…!』
ふと、外から声がして一斉に振り向いた。
見ると、男子用の制服に身を包んだ_______紳士的な女性がいた。
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作者名:サナ | 作成日時:2022年1月8日 22時