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それからは静かな時間が流れた。
尾喰さんとも会う事は無く、淡々と時間を潰し、淡々と食事を摂り、もう入浴まで済ませた。
暇そうだけど、これが意外と苦じゃない。
なんというか、元の世界とは生活様式が全く違うから面白いのだ。こんな日本家屋に入ったのは初めてだし趣がある。
それに…この家、かなり広い。部屋を見て回っていたら、 あっという間に時間が経った。
(…そういえば、あの部屋に本があったわね。今から読んでみるか)
そう思い、髪をさっさと乾かして部屋に戻ろうとしているところだった。
『………ん？』
ふと、私は後ろからの気配を感じ取った。
この足音………
(尾喰さんがこっちに向かってきている…？)
私は足を止めて振り返った。
凜「やぁ、A」
凜が私の肩に手を置いて笑みを浮かべた。
先に入っていたのか、もうバスローブを着ている。
『…ごきげんよう。尾喰さ』
凜「��凜��って呼んでよ。君も尾喰になったんだからさ。
___A」
…ああ、そうだった。
『……��凜さん��。何の御用でしょう？私を探してたんですよね』
凜「少し上から通達が来てね。僕の部屋に来て。そこで話すから」
『…？分かりまし____________
きゃっ！？』
突然、私の身体が宙に浮く。
『えっ…あ、あの…？この体勢は………』
凜「こうでもしないと逃げるでしょ？」
…凜に抱きかかえられた。
この抱き方…確か、恋人同士でよくすると言われてる、「お姫様抱っこ」、というやつだろうか。
にっこりと笑みを浮かべている凜が近くに映る。
『お、降ろしてください。別に逃げませんから』
凜「君は僕の所有物だ。どうするかなんて僕の自由だろう？」
『ウッ』
…そうだった。
私はこの人の��所有物��になったんだった。
だとしてもめちゃくちゃな言い分だ。
強引に降りる事も出来るが、それもそれで面倒な事になりかねないし凜が危ない。
私は抗えず、あれよあれよと連行されてしまった。
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作者名：サナ | 作成日時：2022年1月8日 22時
