*外は怖い ページ9
しばらく経った後、ようやく落ち着いてくれたのか、Aは俺を叩くのをやめ、そっともたれかかってきた。
思いっきり怒ったんだ。
よほど疲れたんだろう……
なんとか落ち着いてくれたみたいで、何よりだ。
レン「大丈夫かい?」
A「全然大丈夫じゃない……見てわからないの?」
レン「ごめんごめん。ゆっくりおやすみ」
A「誰があなたの胸の中で寝るもんか。……けど、もう少しこうさせて……」
そう言って、そのまま身を任せてくるA。
珍しいね。
こんな風に甘えてくるなんて。
あれだけ怒ってよほど疲れたのか、それとも……心を許してくれている証拠なのか……
一生懸命憎まれ口を叩いてはいるけど、可愛いね。
レン「……ねぇレディ。一つ聞いていいかい?」
そっとAの頭を撫でながら、俺はそう問いかける。
Aからの返事はない。
けど、嫌だって言わないあたり、いいってことなのかな。
レン「どうしてそんなに、病室から出たがらないんだい?ずっと狭い部屋にいたら、退屈だろう?」
A「あなたまで私に説教するつもり……?」
レン「そうじゃないよ。ただ純粋に、理由を聞きたいだけさ」
一瞬不機嫌そうな表情をしたものの、俺がそう言うと、すぐに表情を戻して、少し戸惑いがちにこう答えてくれた。
A「……外は……怖い……」
レン「怖い?」
A「理由はよくわからないけど、怖い……だから、出たくない……外は……嫌だ……」
そう言いながら、まるで怯えたように抱き付くA。
……もしかすると、事故のトラウマが、心のどこかに残っているのかもしれない。
だから、怖いって……
そんなに怖いなら、無理に連れ出すのも気が引ける。
そう思ったときだった。
“いつまでも甘やかしてばかりでは、回復も遅れる一方です”
イッチ―の言葉が、頭をよぎった。
Aに、怖い思いはさせたくない。
不安にさせたくない。
でも……イッチ―の言う通り、このまま何もしないままじゃ、Aの回復は遅れるだけだ……
レン「……大丈夫。レディのことは、俺がちゃんと守ってあげるから。だから……少しだけ、外へ出てみないかい?」
意を決して、Aにそう問いかける。
当然、Aも驚いていた。
でも、意外にも怒ったりはしなかった。
ただ不安そうに俯いて、“少しだけだから……ちゃんと、守ってよ……?”と言って、了承してくれた。
そんなAを、俺はもう一度安心させるように抱きしめた。
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十九 雷音(プロフ) - RUIさん» お返事遅くなってすみません!ありがとうございます!!大丈夫です!年明けからまた二作増えますし、カミュもまだ続いておりますよ!!← こちらこそいつも支えられっぱなしで感謝しております( ノД`)…今後も頑張らせていただきます!! (2016年12月30日 12時) (レス) id: ef2046c8bb (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - ああああああ、この作品も終わってしまったぁぁぁ!!雷音さんお疲れ様でした!!本当に素晴らしかったです;;;;私のリクエストにも答えていただき本当に感謝してもしきれません;;;;これからも応援してます!頑張ってくださいね♪ (2016年12月29日 16時) (レス) id: 88b1fe7b13 (このIDを非表示/違反報告)
十九 雷音(プロフ) - RUIさん» あー……(´・ω・) まなさんもお忙しいのでしょうか(´・ω・) (2016年5月18日 14時) (レス) id: abb4063eb2 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 十九 雷音さん» それなら、よかったです!!最近、まなさんもボードに来られないので寂しくて……(´・ω・`) (2016年5月18日 4時) (レス) id: 53c9c73951 (このIDを非表示/違反報告)
十九 雷音(プロフ) - RUIさん» ありがとうございます・゜・(つД`)・゜・ 体調のほうは、辛うじて大丈夫です(^-^; 申し訳ないです(>_<) (2016年5月17日 8時) (レス) id: abb4063eb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十九 雷音 | 作成日時:2016年1月28日 0時