ー意気地なしな俺はーヘタリア

28話 ページ30

「ちょ、ちょっと待って急にどうしたの？手、離してくれないかな……、ちょっと痛い」

先程から、フェリの様子がおかしい。
掴まれている手首もズキズキと痛む。

「あ、ごめん」

フェリの顔は、怒っているようで何処か寂しそうな、そんな顔をしていた。
会議室まではそう遠くない道のりが、気まずさ故に沈黙となりとても長く感じた。

会議室のドアを開けると会議に参加していた国が一斉にこちらへと視線を向けた。

「会議中にどこに行っていたんだ」

大勢いる国の中から口を開いたのは、俺の隣国であり元同盟国ドイツだ。
ドイツは俺から視線を外し、俺の後ろの視線を移した。

「会議中にナンパとは……いい度胸だな」

「ナンパじゃないよ！えっと、覚えてない？」

ドイツは訝し気にAの顔をまじまじと見つめるとハッとしたように口元を抑えた。

「……Aか？何故ここにいる」

信じられないというような目でAを見る。
信じられなくても当然だろう。
現に俺もまだ信じ切れていない。
ただイギリスが魔法を使ってAを甦らせたってことは、理解できた。

「イギリスの魔法で蘇ったんだよ！ね、A」

「うん、……ドイツさんお久しぶりです。またお会いすることが出来て嬉しいです」

ドイツは、はにかみながらAの頭を撫でた。



「ところで」

ﾞこほんﾞと咳払いをしたAは、会議に出席している国を見回した。



「ここは一体どこですか？」


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