27話 ページ29
なんだろう、この感じ一度感じたことある。
この感覚は……そうだ、大和と共に海中に沈んでいく時の感覚だ。
ということは、私は死んだのか?でもこの感覚……二度は死なないだろうし、なんだろう。
知識のない頭で考えていると、どこからか声が聞こえた。
その声は私にとっての最愛の人のものだ。
私は声に驚き目を開けてみると、そこは来たことも見たこともない場所だった。
そして、私の正面に立っている人は涙を堪えようとして変な顔をしていた。
「フェリ……」
私がそう呟くと、フェリは私を抱きしめた。
「お帰り」
「た……ただいま……」
涙が溢れる。きっと私もフェリと同じように変な顔をしてるだろう。だが、今はそんなことを気にするなんて事が出来るはず無かった。
抱きしめた彼の体はとても暖かくこれが夢ではないことを理解するには充分だった。
彼の温もりも勝り、まるで泣きじゃくる子供のように吃逆が出る程泣いた。
「Aさん!」
私達が再会を喜んでいる時、我が祖国である菊さんが部屋へ入ってきた。
菊さんの私を見る顔は、とても複雑そうな顔をしていた。
「菊さん、お久し振りです。」
「イギリスさんとロマーノ君から聞きましたが、戻っていらしたんですね」
菊さんは泣きそうな顔をしていた。
私はそんな顔が見たいわけじゃないのだけれど……。どうすれば笑顔になってもらえるか考えた結果一つしか思いつかなかった。
「菊さん、いえ、我が祖国只今帰還致しました。残念ながら、我が国の最後の戦力である第1遊撃部隊は米海軍の主力を叩くことが出来ませんでした。面目次第もございません。」
私は敬礼をし、あの海戦の結果を報告した。
きっと私から言わずとも大本営から報告されているだろうけど。
「何言ってるんですか、私は貴方が戻ってきてくれただけで嬉しいのです。祖国が民の無事を祈らない訳ないでしょう。無事では済まなかったと思いますが、良く戻ってきてくださいましたね」
菊さんは優しく私の頭を撫でてくれた。
戦前、よく撫でてもらっていたことを思い出して昔に戻ったみたいで懐かしく感じた。
「日本ばっかりズルい……A、皆が待ってるから行こう!」
フェリが私と菊さんの間に入ってきたと思ったら、私の手首を引っ張って部屋から飛び出した。
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фата*(プロフ) - エリア51さん» コメントありがとうございます。少しばかりマニアックではないかと不安でしたが、その様なコメントを頂き嬉しいと共に安心致しました。更新頑張りますので、物語の終わりまで暫しお付き合い下されば光栄です。 (2017年1月23日 6時) (レス) id: aa5819e46f (このIDを非表示/違反報告)
エリア51(プロフ) - 10話や11話がとても細かく書き込まれていて、艦が好きな私はのめり込んでしまいました。とても素敵ですね。ご活躍応援しております。 (2017年1月22日 22時) (携帯から) (レス) id: ad264a6ef2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのあ。(プロフ) - 菊桜さん» 読んで下さり本当にありがとうございます!更新頑張りますね! (2016年6月2日 13時) (レス) id: aa5819e46f (このIDを非表示/違反報告)
菊桜 - とても言葉が綺麗だなぁと思いました。凄いですね、お疲れ様でした。これからも頑張って下さい。応援しています。 (2016年6月2日 6時) (レス) id: a6eb43f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのあ。(プロフ) - 成瀬さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2016年6月2日 4時) (レス) id: aa5819e46f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:фата* | 作成日時:2016年6月2日 3時