第39話 ページ43
各伍号棟の第9試合の片づけを終え、自分の夕飯(飲料ゼリー)も挟みつつそれぞれのトレーニングフィールドの点検や掃除も進めていく。
残るは馬狼君たちの伍号棟・チームXのトレーニングフィールドだけ。
この前の洗濯物といい、あの人たちに関わりたくなさすぎて後回しにする癖がついちゃったなあ。
もう馬狼君以外敗退が確定してしまっているから、いたとしても馬狼君だけだろうけど、それでももし他の誰かがいてまた暴力を振るわれたらと思うとなかなか入れずにいた。
…部屋の前で立ち往生してても、何も変わらないんだけど。
「…あれ、椎葉さん?」
『潔君…どうしたの?』
「一人でも戦える武器がほしくて…馬狼なら、何かそのヒントを知ってるんじゃないかと思って。椎葉さんは?」
ボディスーツを身に纏った潔君がそう言う。
彼と一緒に入れば、もし誰かいても危ない目に遭うことはないか…。
『私はフィールドの点検。よかったら一緒に行きませんか』
「もちろん!」
爽やかな笑顔で返事してくれる潔君に癒されながら、部屋の扉を開ける。
中には馬狼君しかいなくてほっと一息。
1on1を始める二人をよそ目に、私は部屋の点検や片付けられるところの片づけを始める。
特に異常はなさそうなので間単に終わらせると、一方潔君は馬狼君に適当にあしらわれていた。なんなら帰ろうとしてるし。
「次で止める」
「あ?」
「来いよ王様、お前の手の内は理解ったぜ…」
そんな挑発に乗った馬狼君がボールを蹴りだすので、何かの手助けになるかと思ってタブレットを起動してビデオを回す。
最終的には難なくゴールを決められていたけれど、潔君はこのワンプレーで何かを掴んだように見えた。
二人が話し終えたのを見計らって、潔君に声をかける。
『潔君、さっきのワンプレー撮ってみたんだけど…。
何か使えるかなって思って』
「え、ありがとう椎葉さん!助かるよ」
『いえいえ。馬狼君も見ますか?』
すでに部屋を出ようとしている馬狼君にも声をかけてみるけど、案の定断られてしまった。
「それよかマネージャー、お前あんま近付くな」
『え?』
「…手、震えてんぞ」
自分でも気付かないくらいの、小さな振幅。
まさか馬狼君に見抜かれているとは思わなくて冷や汗が垂れる。
「…?」
「大丈夫かよ」
『うん、大丈夫です』
大丈夫じゃない。
けど大丈夫だから。私はマネージャーとしてまだやれるから。
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⚽️ - 選手からヒロインへの暴力行為があるのなら先に記入すべきです。そんな描写誰だってびっくりしますよ。 (4月20日 6時) (レス) id: d10d627114 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃる(プロフ) - cocoさん» コメントありがとうございます!不定期更新で申し訳ないです…少しずつ更新してまいりますので、どうぞお付き合いください! (2月6日 0時) (レス) id: 18955f4b71 (このIDを非表示/違反報告)
coco - 更新待ってまる (1月14日 7時) (レス) @page45 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃる(プロフ) - もこさん» コメントありがとうございます!愛され逆ハーいいですよね、私も大好物ですぐふふ…いろんなキャラと絡めるように頑張りますね! (5月20日 0時) (レス) id: 91d6034ebf (このIDを非表示/違反報告)
ふぃる(プロフ) - あんこさん» コメントありがとうございます!ゆっくりですが頑張ります! (5月20日 0時) (レス) id: 91d6034ebf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぃる | 作成日時:2023年3月24日 14時