第38話 ページ42
「いや、今は他の奴心配してる場合じゃないだろ」
「どうした？」
「大丈夫すか？」
千切君の焦りを含んだ声、私の異常な様子を感じ取り他の選手も集まってきてしまった。
まずい。これ以上大事にしてはいけない。
マネージャーが選手に迷惑をかけるなんてあってはならない。
そんなの、マネージャー失格だ。
『他の皆さんは、怪我とかないですか？』
「いや、俺らは大丈夫だけど…」
『あ、新しいスポドリ用意してあるから後で部屋に持っていくね』
「…椎葉、」
『ん？千切君なんかあった？あ、足の具合はどうですか？』
だめだ。
必死に自分を取り繕おうとしているけど、自分でも何をしゃべっているかわからない。
みんなの目も、心配そうで、訝し気で。
「足も平気だけど、そうじゃなくて、」
『ならよかった。じゃあ仕事あるから行きますね、お疲れ様です』
何も触れられないように急ぎ足でこの場を後にする。
多少強引だとは自覚しているけど、これは自分の身を守るため。
タブレットで確認してみると、どうやら第8試合もチームVの勝利に終わっているみたいだし。チームXで得点王になりうる人は馬狼君以外いないから、これで私の地獄も終わる。
何も考えずただマネージャーとして働かなければ。
**********
試合を終えた人たちがご飯を食べにくるだろうから、その前に簡単に食堂を清掃しておく。
一応各テーブルに台拭きはセットされているけど、みんながみんな食後拭いて帰ってくれる人ばかりじゃないから食べかすがちらほら。
集中して掃除していると、少し遠くで話し声が聞こえてきた。
そちらに視線を向けると、チームVのキーマン達と必死に何かを説明する久遠君。
玲王君も凪君もお行儀悪すぎ。剣城君を見習いなさい。
…っていうか、また久遠君裏切りを持ちかけてる？
「な！？どうだ！？俺と組まないか！？」
『ちょ、』
「断る」
「つまんねぇ」
「めんどくさーい」
さすがに見過ごせなくて間に入ろうと思ったけど、3人の即答に私が入る余地はなかった。
これでもし誘いに乗っちゃったらどうしようって思ったけど、いらぬ心配だったみたいだ。
間に入ろうと伸ばした手をすぐさま引っ込めて、違う部屋の掃除へと移動した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 686人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
⚽️ - 選手からヒロインへの暴力行為があるのなら先に記入すべきです。そんな描写誰だってびっくりしますよ。 (4月20日 6時) (
レス) id: d10d627114 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃる(プロフ) - cocoさん» コメントありがとうございます！不定期更新で申し訳ないです…少しずつ更新してまいりますので、どうぞお付き合いください！ (2月6日 0時) (レス) id: 18955f4b71 (このIDを非表示/違反報告)
coco - 更新待ってまる (1月14日 7時) (レス) @page45 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃる(プロフ) - もこさん» コメントありがとうございます！愛され逆ハーいいですよね、私も大好物ですぐふふ…いろんなキャラと絡めるように頑張りますね！ (5月20日 0時) (レス) id: 91d6034ebf (このIDを非表示/違反報告)
ふぃる(プロフ) - あんこさん» コメントありがとうございます！ゆっくりですが頑張ります！ (5月20日 0時) (レス) id: 91d6034ebf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふぃる | 作成日時：2023年3月24日 14時
