検索窓
今日:325 hit、昨日:220 hit、合計:159,453 hit

第37話 ページ41

Aside.



コートへと急ぐと、残された時間はAT3分のみだった。



久遠君が相手チームにパスを出していて、何となく裏切ったんだと想像できる。
気さくに優しく話しかけてくれる人だったけど、仲間を裏切るなんて行為、私が一番嫌いなやつだ。


それでも千切君がまた走ってくれて、
チームZは勝利を収めた。

自分で出したパスに自分で追いつくなんて神速っぷり。さすが。




千切君の目には熱が宿っていて、安心感のあまり少し気が抜けた。






「椎葉。いつ来てたんだよ」

『遅くなってごめんなさい…』





試合終了直後、潔君と何かを話した後こっちへ駆け寄ってくれた千切君に座ったまま返事をする。
本当は私もそっちに駆け寄りたいけど、体がしんどくてそれどころじゃない。




ドッ。ガス。ドンッ。




そんな鈍い、…さっきも聞いたような音が聞こえてきて。
その音の先を辿ると、久遠君がチームWから暴行を受けていた。








『ひ…っ、』





フラッシュバックする、さっきまでの時間。




痛い。怖い。やめて、





「おい、大丈夫、」

『ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。許して、』







千切君の、男の人の手が伸びてくる。

こわい。


座っていたベンチに身を縮こまらせて身を守る。


私がわるかったの?なんであんな、


目の前にいる男の人も、私が嫌い?ひどいことをしようとしてる?





溢れだした涙は留まることを知らず、それに呼応して震えも止まらない。
恐怖で身動きが取れずにいると、この人が突然動き出したので警戒心が高まる。
と思ったら、私の足元にゆっくりとしゃがみ込み、私を見上げる形になった。






「A。俺の目見て」

『う、ぇ……っは、げほ』

「うん、そうそう。ゆっくり息して」







過呼吸気味になっていたことにも気付かないくらいだったけど、彼が優しく手を握ってくれて、そのぬくもりで少しずつ平静を取り戻せた。

ちら、と暴行が行われていた現場の方を見ると、潔君や國神君が止めに入ってくれていたみたいでその場は収まっていた。





『……あ、』

「少しは落ち着いたか?」


『…久遠君、てあて、しないと』





きっと痛かっただろう。
自分がしたことが褒められたことではないと分かっていても、それでも誰かに非難されることは気持ちのいいものではない。
ケアしないと。マネージャーだから。


救急セットを持って久遠君の方へ向かおうとしたけど、彼は隙をついて逃げてしまった。

第38話→←第36話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (218 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
686人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

⚽️ - 選手からヒロインへの暴力行為があるのなら先に記入すべきです。そんな描写誰だってびっくりしますよ。 (4月20日 6時) (レス) id: d10d627114 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃる(プロフ) - cocoさん» コメントありがとうございます!不定期更新で申し訳ないです…少しずつ更新してまいりますので、どうぞお付き合いください! (2月6日 0時) (レス) id: 18955f4b71 (このIDを非表示/違反報告)
coco - 更新待ってまる (1月14日 7時) (レス) @page45 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃる(プロフ) - もこさん» コメントありがとうございます!愛され逆ハーいいですよね、私も大好物ですぐふふ…いろんなキャラと絡めるように頑張りますね! (5月20日 0時) (レス) id: 91d6034ebf (このIDを非表示/違反報告)
ふぃる(プロフ) - あんこさん» コメントありがとうございます!ゆっくりですが頑張ります! (5月20日 0時) (レス) id: 91d6034ebf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ふぃる | 作成日時:2023年3月24日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。