サポートと支配は紙一重【ブルーロック】

第17話 ページ19

『っは…！？帰るって、何言ってんの！？』

「俺はこんなとこで終わる人間じゃないし、Aちゃんもこんな狂ったとこにいていい人間じゃない。前みたいに俺のために動いてよ。そんで一緒に世界目指そうよ…！」




ぐいぐいと腕を引っ張られる。
リネン室を出て歩き続けているが、これひょっとして本当に外に出ようとしてる？

昨日と同様にやめて、と抵抗をするけどびくともしない。

さっきまであんなに力ない感じだったのに…あんたが一番狂ってる。


サッカー部でのマネージャー業は、松風黒王サッカー部が勝ち進むために頑張ってやってたことであって、決して吉良君1人のためだけじゃない。
やっぱりあなたは、自分しか見えていないじゃない。





『ほんとに…っやめて、離して！』

「……」





ちょうど角を曲がったタイミングで彼の意識が逸れたのか、手を掴む力が少しだけ緩んだ。そのすきを見て精一杯の力を振り絞って振りほどくと、ようやく手が放れた。
うつむいて黙り込む吉良君。

正気に戻ってくれたのかな、と少し安堵する。







それも束の間、今度は突然肩を押され壁に押し付けられた。
叩きつけられた背中が痛くて思わず顔を歪めると、彼の唇が私のものに触れた。






『な、に…して、』

「俺知ってるんだよ。Aちゃん、俺のこと好きでしょ？
…ていうか俺のこと好きじゃない奴とかいるわけないか。

ね、俺も好きだよ。俺が愛してあげるから、一緒に行こ」






もう彼が何を言っているのか理解できない。

好きだなんて一度も思ったこともない。

むしろ好きどころか、今は目の前に居る彼に恐怖しか感じない。




何も言葉を発しない私の態度に、無言を肯定と受け取ったのか満足そうな顔をする吉良君。
そしてそのまままた顔を近づけてきて、キスされそうになる。







『やめて、…っ』










「え、何してんの」








曲がり角から、声が聞こえた。

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