サポートと支配は紙一重【ブルーロック】

第10話 ページ11

『……えっとー、他に怪我された方いらっしゃれば教えてほしいんですけど…』




無言に耐えきれなくなって声を上げると、少し遠くであははっという笑い声が聞こえてきた。
突然笑い出したのは、さっき五十嵐君の顔面を蹴り上げた蜂楽君。





「いいね、君！やっぱこんな場所ともなるとマネージャーも一味違うんだ！」

『いや、あの、さっきのは思わず言っちゃっただけなので出来たら忘れてもらえると…』

「えーなんで？俺君のこと気に入っちゃった。
俺は蜂楽廻ね！よろしく、えーと、」

『椎葉Aです。よろしくお願いします、蜂楽君』

「うん！よろしくAちゃん！」





蜂楽君と握手を交わす。
部活やってるときからずっと吉良君距離近いなって思ってたけど、蜂楽君もなかなかだ。
あれ、ひょっとしてサッカー男子ってみんな距離感バグってる…？

なんてくだらないことを考えながらも、選手一人ひとりをよく観察する。





『あれ、潔君ひょっとしてお腹痛めました？』

「え？あー、そういやさっき蹴られたボール腹で受けたかも…」

『そういうことか。一応湿布渡しておきますね』




服が少し擦れているように見えたから聞いてみたけど、当たっていた。
こんなところにFWとして集められている人たちのボールをお腹で受けるなんて、さぞかし痛かったことだろう。可哀想に。





「あ、あの！」

『はい？』





声を掛けられて振り返ると、そこにいたのは今村君…だっけかな。
どこか怪我をしていたのだろうか。




「もしよかったら、俺と連絡先交換しませんか！」

『え。……今って、携帯、持ってます？』

「うわマジじゃん…没収されてるんだった…！」




心底残念そうに膝をついた今村君がおかしくて笑ってしまう。
今どきの男子高校生がスマホを奪われるなんて、本当に大変な生活だと思う。
ちなみに私はマネージャーという立場だから没収されてないけど。




『じゃあ、返してもらえたらその時にまた』

「うん…！！」


「“AちゃーんルームVで怪我人。油売ってないで仕事”」

『あ、はいすぐに！じゃあチームZの皆さん、お疲れ様です！』




部屋を出る前にお辞儀をして、そこからまたダッシュでルームVへ向かう。
もしかしたら部活の時より走ってるかもしれない。

第11話→←第9話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す