pineapple 2 (ページ5)

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Orange × Red ページ5

食堂のおばちゃんside

「おばちゃん！いつものちょーだい！」

「はいはい〜」

「私もいつものお願いします！卵増し増しで！」

「ほんと、アンタはよく食べるね(笑)」

私はここでパートとして１０年以上働いてるけど
健ちゃんは入社したての頃から「ごちそうさまでした。」
と必ず挨拶に来る律儀な子だった。他のパートさんとも
あの子は偉いねーって、感心してたんたよ。

ズケズケとお構い無しに私らのとこまで入ってきて
そして感謝を伝えるのを忘れずに帰っていく

そんな私らに大人気な健ちゃんが
今年からは毎日のように新しい子を連れてきて
ただでさえ明るいのに、もう楽しい！と言わんばかりの顔をしてる
「青春だね〜。」って、私らは見守るのが微笑ましかった。

「あれ、いつものAちゃんは来ないのかい？」

「…うん、Aちゃんは剛がいいみたいだから。」

ある日のこと。
健ちゃんは突然の曇り空の下のように落ち込んでいた。

「バカだね。あの子はそんな難しい子じゃないと思うけどね…」

「ほんとに、そう思う？」

「ほんとだよ。アンタが暗い顔してると、私らにも雨が降りそうだよ。」

どうせまたつまらない勘違いですれ違ってんだろう？
え？長年の勘だよ。アンタもあと２０年生きたら分かる。

「うわあ、ブルーかんわいい〜」

「可愛いでしょ〜」

「健く･･･三宅さんは全然変わらないね〜」

「あー。今会社じゃやばいと思って言い直したー？」

お盆持って待ってるAちゃんと健ちゃんが
ふたりでこそこそと何やら楽しそうにじゃれている
おやおや？どうやらこれは…

「あいよ、お待たせ。」

「ふたり、ラブラブだねえ〜」

Aちゃんの方は(何故バレた･･･！？)と
目をまん丸にしてあわあわ驚いてたけど、隣の健ちゃんは
それすらも愛おしそうな顔で、見つめている

「健ちゃん、よかったね。」

「…うるさいよ。」

ある時は、太陽みたいな健ちゃんが凹んでて
どうなることやらと心配してたけど「若いねー」
「私らにも確かにあの頃があったんだよ」と厨房で盛り上がる。
アンタ達見てると、お昼が楽しみになるんだよ。

「あら、珍しい顔だね。」

「なんでもいいから、ちょーだい。」

なんだい、ここはカウンセラーじゃなんだよ。
見た目は眩しい金髪でも、元気が無さそうだから大盛りカレーを渡しておいた。

「まーた健ちゃんにイタズラしたでしょう？」

「背中押してやった、って言って欲しいわ」

「剛ちゃんも不器用だねー。」

ま、私はアンタらみてると楽しいからいいんだけど。