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Nagano side
「多分、長瀬くんの言う好きは私が部長や森田さん達に対して思うような、この環境において頼れたり守ってくれることに勘違いしてるんだと思う。」
「違います。応えられなくていいですから、俺の好きまでは、否定しないでください。」
「うわ、やっぱりやべえよ長野くん…」
「え?」
井ノ原にあれ見て・・・!と促され見ると
長瀬とお揃いのジュースを片手に話してる妻がいた。
「アイツ、絶対にAちゃんに告白してるじゃん!」
「うん、そうだね」
「ちょっとなーのくんがなんで冷静なの?旦那でしょ?!」
なんていうか、俺はAちゃんに
絶対に愛されてるっていう自信があるというか。
どちらかというと、彼女がこの状況でどんな返しをするか気になっている。まあでも、不安なのは間違いない…
「好きの種類を否定するのは間違ってた、ごめん。もし、博くんが他の人と結婚してたとして、出会う順番が違っても私もこうやって伝えてたかもしれない。」
「じゃあ・・・」
「でも、私が好きなのは博くんだから。どんな出会いの順番でも、彼がもし他の誰が好きだとしても、私は博くんの方向しか見れないんだ。」
出会った頃は慣れないヒールに歩けなくなるような
子供みたいに可愛い子で、すぐ照れるところも
いじめてもっと赤くさせたいと思っていたのに
いつのまに、そんな考えを持って
真っ直ぐ伝えられるくらい君は大人になっていたのか
いつしか、どんどん綺麗になっていく君に
手を引かれて歩いてみたいと願ったことがあるけど
Aはもう、俺なんかよりもずっとずっと大人だ。
「…Aさんは、長野さんのことが大好きなんですね。」
「うん。」
「そうっすよね。会社で旦那さんがいる時は、大人で気丈に振舞ってるけど、心の中で大好きが大騒ぎしてて仕方がないんだなあって見てたら分かりますもん。」
「うん…。え、え?」
「あー。やっぱダメかあーー!」
ああ、井ノ原にはなんで余裕なのって言われてたけど
もう無理だ。我慢できない。
「え、ちょっと待って。なんで、私顔に出てた…?」
「え、なーのくん?」
「わ!びっくりした、博くん!?」
頬を覆うように手を当てて、まるで毎日の心の内が真っ赤になって表情にどんどん出てくる。君のその照れた子供みたいに可愛い顔だけは他の男に見せられない。
「ちょっと、何その顔。隠さないで」
「だって、恥ずかしくてっ…」
「ふふ、やっぱりまだ、子供だね。」
だって、俺だけのモノだから。
背伸びして毎日綺麗になろうと頑張ってるけど
ふとした時に、可愛いふにゃふにゃな姿が顔を出す。
彼女は、俺だけがいじめていいんだから。
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作者名:珊瑚 | 作成日時:2023年1月26日 21時