紫爛花

オーダーは紫で ページ17

「かわいい、バリ似合っとー。」

「俺の色にしたん？Aさん。」


ソファーに座ったら、
ふぉいも隣に座ってずっと聞いてくる。
トリーメントしたてのサラサラの髪をずっと撫でながら
頭の上に音符が見えるくらい、ご機嫌さんだ。


後ろでまるが「脇、おはよー」と挨拶をする声が聞こえた。
ソファーに膝立ちをして、振り向くと目が合う。


「おはよ、脇」

「A、髪...染めた？」

「うん、染めた。気分転換に。」


わたしが髪色を変えたって、脇には何も関係ない。
はずなのに、どうしてそんなに、悲しそうな顔をするの？


「いい色っちゃん、紫。お前によく似合っとー。」


脇の手が私の髪に触れようとした瞬間
ソファーに座ったままのふぉいが口を開いた。


「俺、コイツと付き合うことになったけん。」


今、言うんだ。別にずっと隠すつもりもなかったけど。
時間があまりにもゆっくりに感じる。
ふぉいの顔は見えないのに、どんな顔をしてるか想像ができる。


後ろでまると銀太が


「えぇ？マジ？」

「お前ら、分からんかったと？」

「何となく気づいとったけどマジなんすね」


社長と話している声が聞こえた。


ねえ、脇。教えてよ。
どうしてさっきよりももっと悲しそうな顔をするの？


「そうなんだ。」

「ねぇ、脇」

「よかばい。美男美女で、お似合いよ。」

「...。」

「俺、煙草買ってくる」


脇が部屋を出ると、
体感10秒くらい、沈黙が流れた気がする。



「よし！インドネシア行こう！」

「「「はぁ？？」」」



沈黙を破ったのは社長だった。


「旅行行こう！1週間くらい」

「どこからそんな金が出てくると？」

「ずっと海外で動画撮ってみたかったっちゃんね」

「人の話きいとる？」

「なんでいきなり？」

「状況わかっとる社長？」

「だってこのままだと気まずいやろ」

「脇も、ふぉいも、Aも。」


「社長は、優しいのか破天荒なのかよく分かりません」

「優しい、やろそこは」

「ありがとうございます...」


社長は後から来た
チバニャンも、シノさんにも伝え始めた。


「「明日！？」」


二人の声にメンバーはさらに驚き
いやまさかの明日って。
銀まるは既に大はしゃぎ、ふぉいは...


「お前も、楽しみにしていいっちゃん」

「それは、ふぉいもよ？」


お互いの笑顔が確認できたから、良かった。


社長の気遣い(？)で急遽決まった
全員で一週間インドネシア旅行の旅スタートします。

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