貧血少女の秘密 3【ky】

十二話 ページ12

…フジ君は…好きな人いるのかな…。

だって、美咲はきっと…多分…。


『…キヨ君？』

「ん？」

『フジ君は好きな人いるの？』


キヨ君なら知っているのでは？

そう思って放課後、帰り道でキヨ君に聞いてみた。


「…え…何で…？」


キヨ君の歩くペースがゆっくりになった。


『だって、キヨ君はフジ君と仲がいいでしょう？だから…』


そのまま止まってしまったので後ろに振り返りキヨ君の顔を見ると、とても悲しそうな顔をしていた。


「……ダメなのか…？」

『えっ、な、何が？』


焦ってキヨ君に駆け寄ると、今にも泣き出しそうだ。


『えぇっ！どうしたの？私何か＿』

「俺じゃダメなのか！？」

『…え…？』


キヨ君のどこがだめなの？

良いところしかないと思うのに…。


「朝、フジに話したのもその所為なのか？」

『？？？』


どういうこと？フジ君に話したけど、それは美咲のためだし…。


「俺より…フジの方が好きなのか？」


はい！？


『な、何で！？だって、キヨ君は私を惚れさせるんでしょ？私もキヨ君惚れさせるし…』


え、もしかして…。


『私がフジ君のこと好きだからフジ君の好きな人聞いたと思ってる？』

「…え、ちげぇの…？」

『ち、違います！私が一番好きなのはキヨ君です！』

「っ…」


キヨ君顔赤くなってる…って、何で告白したの！？


『うわぁっ！い、今のはその違っ…フジ君じゃなくて、キヨ君の方が…じゃなくて…』


慌てすぎて訳の分からないことを言っていると、美味しそうな香りが近付いてきた。


『え…き、キヨ君…な、何で抱きしめて…』

「…はぁ…」


ため息！？


「紛らわしいことすんな。…マジでビビった…。」

『…ご、ごめんなさい…。』

「…で？…告白したってことは俺の勝ちってことでいいの？」

『…！？だ、ダメ！』

「何でだよ…」

『だ、だって言わないとキヨ君泣きそうだったし！』

「泣かねえよ」


…そう言ってても声震えてるじゃないですか。


『今はキヨ君に抱きしめられてるのでキヨ君の顔も見れないなー…ってことで…』


キヨ君の背に手を回す。


『…お騒がせしました。』

「…本当だよ…馬鹿…」


顔は見えないが、震えと時々漏れる声でそれほど不安にさせてしまったのかと言うことがわかる。


『…ごめんね…』


安心して、一番はキヨ君だよ。

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