二十二話 ページ22
キヨside
は?
コイツ、今何て?
_キヨ君をください
どういう意味だ?
付き合っているのにこれ以上求めるものがあるのか?
いや、俺はあるけど…。
「い、いいけど…」
『!…よかったぁ!久しぶりだから断られるかと…』
久しぶり!?いつの話だよ!
『最近飲んでなかったから、キヨ君の香りとお菓子の香りでおかしくなりそうだったよ…』
…ん?
飲むって…
理解すると同時に俺の顔が先程よりも熱くなるのがわかった。
うわ…馬鹿みてえ…。
Aはただ血が飲みたかっただけなのに。
変な勘違いして…。
『えっと…そのまま飲んで大丈夫?』
「ん…」
飲みやすいように、首元を開ける。
ゆっくり顔を近付けて、噛みついた。
相変わらず最初は痛い。
そりゃあ首噛まれてるんだから当たり前だけど。
首元を舐められるのはくすぐったいけど、Aのためにも動かないように気をつける。
でも、それが気持ちよかったりする。
『そろそろ…?』
顔を離して聞いてくる。
俺の体を心配してだろう。
「まだ平気」
『でも…』
「俺の体のことは俺が一番わかってるから。あと、ハロウィンのサービスな」
Aは黙って再び血を飲みだした。
その時、カメラのシャッター音が聞こえてきた。
「Aストップ」
『え、飲み過ぎた?ごめん…』
Aの質問を否定するよりも先に急いで犯人を探そうと、教室中を見渡す。
その時、一つの机がガタンと動いた。
犯人の腕を引くと、そこには先程帰ったはずのヒラがいた。
「え…ヒラ?」
「あーあ。見つかっちゃった…」
スマホを片手に持ち、帰る時に持った鞄を背負っていた。
『な、なんでヒラさんが?』
「言ったでしょ」
「何て…?」
ヒラさんは怪しく笑った後、ニコッと笑って
「イタズラするって」
と言った。
『イタズラ?』
「ハロウィンでしょ!」
「お菓子貰ってただろ」
「二人からは貰ってない」
「はぁ?」
そういえば、フジ君と美咲からは貰っていたけど、私達はあげていなかった。
「いやぁ、少し脅かそうと思ってたらこんな面白いことしてるんだもん」
スマホの画面を見せつけて、ニヤリと笑った。
そこには私がキヨ君の首に噛みついている姿が写っていた。
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作者名:璃音哀 | 作成日時:2017年6月28日 17時