二日目 4 ページ10
頭が回らない。
何でキヨ君に抱きしめられてるの？
「昨日、お前の誘い断っただろ？」
『…、うん…』
「俺さ、本当はAと一緒にまわりたかったんだ。…でも、俺も負けたくなかったんだよ。だから、寝不足になるほどゲームの練習してた。」
キヨ君は私を離して私と目を合わせた。
「お前、ミスコンで優勝したんだろ？」
…知らないと思っていた。
寝不足でフラフラしていたんだから、そんなこと聞いているとも思わなかった。
「俺、絶対負けねぇからよ。最終日、一緒に文化祭楽しもうぜ！」
いつもの笑顔でキヨ君はそう言った。
それを聞いて私はまた涙を零した。
「えっ！嫌だった＿」
『…かった…。』
「…え？」
『悲しかった！…キヨ君に断られて、…私っ…キヨ君に嫌われたんだと思って…。…昨日の夜、キヨ君に何をしてしまったのかって…ずっと考えてて…。』
「…ごめん、そんな辛い思いさせてると思わなかった。」
辛かった。…だから。
.
.
.
.
.
.
『……勝って。』
「…！」
『絶対勝って、文化祭…一緒に楽しもう…。』
私に勝ったんだ。負けるなんて許さない。
キヨ君が負けたら、キヨ君に負けた私も弱いことになる。
…そんなの、嫌だ。
「…ははっ…」
『…え…』
急にキヨ君が笑い出した。
『な、…何笑って…』
「勝つに決まってんだろ。」
『っ…』
「俺が何のために寝ずに練習して来たと思ってんだよ。…絶対勝ってやる、俺のためにも、お前のためにも。」
キヨ君は私の頭に手を乗せて、会場へ向かった。
私は涙を拭い、応援席の方へ向かった。
彼なら絶対勝ってくれる。そう信じて。
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作者名：璃音哀 | 作成日時：2017年4月25日 22時
