貧血少女の秘密 2【ky】 (ページ23)

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＊キヨside

花火まであと一時間。

一番花火が見える屋上を美咲に許可を取って貸し切りにして貰った。

つまり花火が上がるときには俺とAの二人きりだ。

『もうすぐ終わっちゃうね…文化祭』

「…あぁ」

寂しそうに呟くA。

「別にこれでお別れって訳でもねぇし。まだ一年だぜ？俺ら。来年も再来年もあんだし、卒業してからだって、会おうと思えば会えるだろ」

俺の言葉を聞いて驚いた様子のA。

『えっ…、会ってくれるの…？』

その返答に俺まで驚いてしまった。

「え、逆に会わねぇの？」

質問に質問で返す。

『…私ね…キヨ君に会うまでそんな人と仲良くなれるような人じゃなかった』

少し俯きながら話し出すA。

『美咲と仲良くなったのも…、叔母さんが美咲のお母さんと知り合いだっただけで…。私の力じゃないんだ…。
私が勉強出来るのも、友達がいないからずっと独りで勉強してたから。美咲も何も言わずに付き合ってくれた。

…吸血鬼だった所為で「化け物」って言われたこともあった。お祓いだと言って水をかけられたり、封印って言ってロッカーに閉じ込められたりもした。』

初めて知った。Aがそんな酷い目にあっていたことを。

『…初めてだったんだ…！…吸血鬼って聞いても、冷たい目で見ないで…キラキラした目で見て貰えたの。凄く嬉しかった。

…そんな風に卒業しても会ってくれるって言ってくれたのも初めてだったから、凄い嬉しいんだ…』

俺の方を向いて微笑んでくる。

その笑みはとても悲しそうだった。