異世界食堂×兵庫水軍クロスオーバー第四編

フェリオの食欲(2) ページ16

フェリオ「えっ？あんた王族なのか？ち、違うって！俺は単なる庶民だよ。其れ処か、両親も知らないんだ。小さな時に旅芸人の一座に拾われて、剣士を志して一人旅に出るまで、王族みたいな習い事なんか縁は無かったよ」

鬼蜘蛛丸「そうなのかい？なんか気になるな」

店主が不意に戻って来た。

店主「済みません、ちょっとご確認したい事が。焼き林檎のご注文ですけど、仕上げにアイスクリームを乗せても宜しいですか。その場合ですと、ブランデーのフランベに致します。中には、フランベは苦手な方もおられますので」

フェリオ「アイスクリーム？牛乳を使った氷菓か？ああ、良いよ。後、フランベって何だ？」

店主「度数の高い香りの良い蒸留酒を、果物の菓子や焼いた肉等に振り掛けて、火を付けて、アルコールを飛ばして酒精の香りと風味を高める手法ですよ」

フェリオ「へえ、そんなやり方あるのか。判った。任せる」

そして、

店主「お待たせしました。ロメインレタスのシーザーサラダとビーフシチューです」

コトリ。

湯気を立てる深皿と、綺麗に野菜やゆで卵、カリカリベーコン等が盛られた平皿がフェリオの前に置かれる。

フェリオは、先ずビーフシチューを食い入るように見ている。

慎重に香りを確かめ、息を吹く。

フェリオ「うわあ…凄ぇ良い匂い。この色…濃い赤茶色のとろみの深そうなシチュー…こんな汁物初めて見る。牛乳で鶏肉や玉葱を煮込んだシチューしか食べた事無いからな…マスター、このスープ、使うソースは何て名前なんだ？」

店主「デミグラスソースって言うソースです」

フェリオ「デミグラスソース…聞いた事が無いけど。企業秘密じゃ無ければ、作り方とか材料知りたいよ」

店主「構いませんよ。そうですね…店によっても微妙に違いが在りますけど、基本は、野菜は香味野菜…玉葱人参セロリ…ニンニク、肉は、出汁には鶏の手羽、牛のスジ肉、本当に手間を惜しまないなら、骨髄のエキスを溶かすのに、牛骨を一旦オープンで、こんがりと焦げ目が付く迄焼いてから、幾つかに割るか砕くかして煮込みます。🍅の缶詰や赤ワインも、後は、ローリエや香草等のハーブ類を纏めて縛った奴も入れますね。うちで作る奴は、大体3日は煮込んで仕上げてます」

フェリオ「嘘だろ…3日も煮込むだって？！薪とかの燃料費とかもかさむのに。此処本当に庶民の店か？貴族御用達の店なんじゃ？」

フェリオの食欲(3)→←フェリオの食欲

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す